サイバーリテラシーを考えるうえで基本文献となる書物についてご紹介します。(『インターネット術語集II』末尾より引用)
『起業家 ジム・クラーク』 ジム・クラーク(+オーウェン・エドワーズ) (水野誠一監訳、日経BP社、2000) インターネット時代を一面でリードした起業家が書いた「ブラウザー」をめぐる奮戦記。 |
『トロンからの発想』(岩波書店、1987) 『21世紀日本の情報戦略』(同、2002) 坂村健 前者はトロン提唱者が初期に書いた基本構想。後者では今後の情報戦略のあり方を論じる。 |
『鉄腕アトムは実現できるか?』 松原仁 (河出書房新社、1999) 少年時代、鉄腕アトムで育ちフロイトにかぶれたという人工知能研究家が書いたやさしいロボット 学。 |
『哲学者クロサキの憂鬱 となりのアンドロイド』 黒崎政男 (NHK出版、1998) ヒューマノイド・ロボットが続々登場するようになったとき、人はロボットとどうつきあえばいい かを考える。 |
『インターネットバブル』 アンソニー&マイケル・パーキンス (斎藤精一郎監訳、日本経済新聞社、2000) ネットバブル絶頂期に書かれた正当なるバブル批判。 |
『インターネットの憲法学』 松井茂記 (岩波書店、2002) インターネットの普及によって、従来の憲法理論もまた再検討を迫られている。広範にわたる問題点を概観したもの。 |
『電子署名法』 夏井高人 (リックテレコム、2001) 電子署名法の具体的解説を通して、情報ネットワーク社会における新しい法のあり方を問う。 |
『電子ネットワークと個人情報保護』 岡村久道・新保史生 (経済産業調査会、2002) もはやだれもが無関心ではいられない個人情報保護をめぐる「オンラインプライバシー法入門」。 |
『暗号化』 スティーブン・レビー (斉藤隆央訳、紀伊国屋書店、2002) 軍事上の武器だった暗号を、ネットワーク社会でセキュリティを守るための道具へと変えた開拓者 の興味深いドラマ。 |
『インターネットについて』 ヒューバート・ドレイファス (石原孝二訳、産業図書、2002) 肉体から離れることを可能にするとしてサイバースペースを評価するのは間違っていることを強調。 |
『テレコズム』 ジョージ・ギルダー (葛西重夫訳、ソフトバンク、2001、原著は2000) コンピュータの時代からコミュニケーションの時代へ。光(電磁波)による「ブロードバンド革命 のビジョン」。 |
『ブロードバンド戦略 勝敗の分かれ目』 池田信夫 (日本経済新聞社、2001) 通信と放送の融合がはらむさまざまな問題を小気味よく、歯に衣着せずに論述。 |
『本の未来はどうなるか』 歌田明弘 (中公新書、2000) 本とコンピュータの歴史を振り返りつつ、「本を超える記憶装置」のかたちを探る。 |
『IT汚染』 吉田文和 (岩波新書、2001) ITが引き起こすさまざまな環境汚染について、広範な現地報告を織り込みながら警鐘を鳴らして いる。 |
『すばらしい新世界』 オルダス・ハックスリイ (松村達雄訳、早川書房『世界SF全集』所収、1968、原書は1934) 現代ネットワーク社会の風刺ともなっている、70年前に書かれた小説。 |
『情報様式論』 マーク・ポスター (室井尚+吉岡洋訳、岩波書店、1991) 「われわれは自分の身体を全く動かす必要がないような通信衛星を通してさまよう遊牧民なのだ」と著者は言っている。 |
『CODE―インターネットの合法・違法・プライバシー』 ローレンス・レッシグ (山形浩生他訳、翔泳社、2001) 「コード」というキーワードを使って、サイバースペースの抱える問題を縦横に論じる。 |
『IT社会の法と倫理』 サラ・バーズ (日本情報倫理協会訳、ピアソン・エデュケーション、2002) 「コンピュータ技術の影の部分を減少させ、光の部分を増加させる」ことを願い、IT社会の諸問題を考察した教科書。 |
『リナックスの革命 ハッカー倫理とネット社会の精神』 ペッカ・ヒマネン (安原和見・山形浩生訳、河出書房新社、2001) これからのネット社会の精神をハッカー倫理に求める試み。 |
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』 マックス・ヴェーバー (大塚久雄訳、岩波文庫) 資本主義を生み出した精神をプロテスタンティズムの倫理に求めた古典中の古典。 |
『自由からの逃走』 エーリッヒ・フロム (日高六郎訳、東京創元社、1951) 自由であることの孤独に耐え切れなくなった人びとが、かえって全体主義的イデオロギーを希求する危険性を警告。 |
『電脳世界』(本間邦夫訳、産業図書、1998) 『情報化爆弾』(丸岡高弘訳、産業図書、1999) ポール・ヴィリリオ サイバースペースに対するラディカルな批判を続ける著者の評論集。 |
『情報の文明学』(中央公論社、1988) 『情報論ノート』(同、1989) 梅棹忠夫 1963年に発表した有名な「情報産業論」などを収録した、日本における情報論の古典。 |
『時間の文化史』 『空間の文化史』 スティーヴン・カーン (浅野敏夫他訳、法政大学出版局、1993) 原著は『時間と空間の文化史』。19世紀末から20世紀初頭にかけての時間と空間に関する認識の変容を描いて興味深い。 |
『反論』 ニフティ訴訟を考える会 (光芒社、2000) ネットワークにおける「表現の自由」のあり方を考えるときの貴重な資料。 |
『本が死ぬところ暴力が生まれる』 バリー・サンダース (杉本卓訳、新曜社、1998) 識字率(リテラシー)の低下が、若者たちの物事を客観的に眺める能力を奪い、短絡的な行動をと らせていると指摘。 |