IT社会に巣立つ女性の必修シンポ 第1弾 ≪速報≫

IT社会に巣立つ女性の必修シンポ 開く

 明治大学法学部主催(明治大学短期大学、明治大学情報科学センター、SHIPプロジェクトなど協賛)の「IT社会に巣立つ女性の必修シンポ―挑戦するためのインターネット」が、7月10日(木曜日)午後6時から8時まで、東京・神田駿河台の明治大学リバティタワー1032号教室で開かれた。

 パネル参加者は、粟飯原理咲(総合情報サイト「オールアバウトジャパン」マーケティング・プランナー)、関根千佳(情報のユニバーサルデザイン研究所「ユーディット」代表取締役)、二木麻里(人文系総合ゲート「アリアドネ」主宰)、吉原佐紀子(「育児の百科」スタッフチーフ、「天然社」主宰)の4人。コーディネイト及び司会は、明治大学法学部客員教授、矢野直明。

 今回は、これからIT社会に巣立っていく女子学生の参考になるように、パネルにもさまざまな分野で活躍している女性の参加を求め、それぞれの体験に基づく具体的な話を聞いた(学生に勇気を与えたいというのが趣旨でもあった)。

 粟飯原さんは、いろんなジャンルの情報をその道の専門家がガイドする「オールアバウトジャパン」という新しいサイトを紹介すると同時に、仕事とは別に仲間と立ち上げた「よせがきコム」、「OL美食特捜隊」などユニークなサイトの経験を報告しながら、私は「地に足のついたミーハー」をモットーにしているが、「自分で情報を発信しはじめたことで、情報がどんどん自分に集まってくる。結局、私自身が一番豊かになっていく」と、インターネットのすばらしさについて話した。

 関根さんは、自分の生い立ちから始めて、大学卒業後、パソコンなど触ったことのないままIBMにシステムエンジニアとして就職、ご主人と経験した海外生活を通じて、心身にハンディを負う人びとがふつうに生活できる社会の実現に尽力したいと思い始めたこと、突然、会社をやめて「情報のユニバーサルデザイン研究所」を起こしたこと、社員は5人であとは契約社員だが、社員にも契約社員にも身体障害者がいっぱいいること、などを明るく、ユーモアたっぷりに話した。  これからの高齢化社会ではとくに、健常者もそうでない人も、ともに快適な生活ができるための環境づくりが大切で、それが「ユニバーサルデザイン」の考え方だと説明したが、「ユニバーサルデザイン」という言葉をはじめて耳にした人もいて、関根さんのバイタリティあふれる生き方ともども、聴衆に大きな勇気を与えたようだった。

 二木さんは、翻訳者としての仕事がら、早くからインターネットに親しんできたが、自分の便宜のためにも、膨大な情報を有効に閲覧できるサイトを作りたいと、インターネットという「迷宮」の案内サイト、「アリアドネ」を築き上げた経験を話しながら、検索サイトはどういう仕掛けで成り立っているか、どうすればそれを上手に利用できるかなど、各種の検索サイトを自由自在に使いこなしている二木さんならではのノウハウも披露、他の出演者も含めて、多くの人をうならせた。

 吉原さんは、現代学生とインターネットのかかわり方を、手伝ってくれた学生の協力で手書きのグラフにまとめたものを表示し、それに関する他の出演者の意見を聞きながら、シンポジウムを出演者相互や聴衆との語らいの場へと誘導した。「自分もつい最近粟飯原さんの『よせがきコム』を使わせていただいた」との関根さんの発言をめぐって聴衆からも発言があり、以後、シンポは和気藹々とした雰囲気のなかで進んだ。

 シンポ開催を聞いて参加した社会人も含めて、60人ほどの出席だったが、閉会後も出演者を囲んで質問をする姿が各所で見られた。来春、システムエンジニアとしての就職が決まったという商学部の女子学生や生田から参加した工学部の男子学生もいた。

 会場でのアンケートに何人かの人たちは、「さまざまな業界の第一線で活躍している人の話を聞けたのはよかった」、「ふらりと来たが、女性がIT社会でこのように活躍しているのを知り興味深く思った」、「勇気をいただきました。ありがとうございました」などと答えていた。参加した男子学生の一人は、「タイトルは女性向けだったが、僕たちにもたいへんおもしろかった。今日来なかった人は損しましたよ」と話した。出演者の方々も、お互いに知らない話を聞け、和やかな雰囲気の楽しい会だったとの感想を残してくれた。

 なお、本ホームページで近くシンポジウムの詳報を掲載する予定である。また粟飯原、関根、二木の3氏については、当サイバーリテラシー研究所のホームページ経由で見られる「サイバーリテラシー対談」で、詳しい話を紹介している(文責・矢野)。