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2005年05月18日

あたかも夢遊病者のように

大学で教えていて驚くことの一つが、授業中に学生が突然席を立って、そのまま教室を出て行くことである。

先日も女学生が教壇の脇をだまって通り過ぎようとするので、「なぜ出て行くのか」と聞くと、「ちょっと」と言ったままである。ケータイメールで友人から呼び出されたらしい。授業中にケータイに電源を入れ、メールのやりとりをすること自体を私は禁じているが、守られていない。

ケータイメールで呼び出されただけで授業を抜け出すのはけしからんと思うが、もっとひっかかるのが退出するときの態度である。教師に挨拶しないのみならず、教師がそこにいないかのようにスーッと出て行く。私は「授業を途中で退出するときには、名乗ったうえで断るように」と叱ったが、こういうことにはまったくうんざりする。

後ろのドアからそっと隠れるように抜け出したり、逆に露骨に反抗の意思表示をしてわざと目立つように出て行くというのならまだわかるが、いまの学生は、まるで夢遊病者のように授業から退出していく。彼らはまさに、そこにいて、そこにいない。

他の先生方はどう対処しているのだろうか。皆が皆、そのような学生を誰何していれば、たぶんこんなことは頻繁に起こらないだろうから、見て見ぬふりをしているのかもしれない。

これも現実世界とサイバー空間が相互交流する現代社会特有の現象だと思われる。

投稿者: Naoaki Yano | 2005年05月18日 10:10

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