アマゾンで古本を買うと、個人情報が「溶け出て」いく
アマゾンで本を買うと、アマゾンから本が郵送されてくるが、個人出品の古本だと、個人から送られてくる。その送り主にアマゾンに提供した個人情報の一部(メールアドレス、氏名、住所ぐらいか)が通知されてしまうわけだ。
アマゾンのウエブページの下に小さく表示された「プライバシー規約」には、
「Amazon.co.jp は、業務の一部を他社、または個人に委託しています。委託業務には、注文処理、商品の配送、郵便物やEメールの送付、重複する情報のお客様リストからの削除、データの分析、マーケティングの補助、クレジットカードによる支払いの処理、カスタマーサービスなどが含まれます」
とあるので、アマゾン側としてはクリアされているという認識かもしれないが、てっきりアマゾンから本が送られてくると思っていた女子学生が、「ええッ、私の情報が見知らぬ人に知られてしまったんだ」とかなりなショックを受けていた。
楽天のようなオンラインショップだと、決済も含めて店とユーザーの取引になるし、古書ネットでも同じ。オークションはもともと個人と個人の取引である。そうはっきりしていれば問題ないけれど、アマゾンの場合は、新刊も古本も同じ” 棚”に並んでいて、同じように注文する。ユーザーが古本もまたアマゾンから送られてくると思い込んでも無理はないだろう。
だから、アマゾンで古本を買う場合の手続きとしては、一段階、「個人情報の一部を出品者に通知していいですね」と、客の意向を確認すべきだと思うが、この点は、一般にどう理解されているのだろうか。個人情報保護法との関連も含めて気になるところである。アマゾンの見解もまだ聞いていないけれど、ご存知の方はご教示ください。
デジタル情報社会は、個人情報がさまざまに「溶け出て」いくからこそ危険なのだが、このような「不意打ち」をくらう(ついうっかりすると、すぐ寝首をかかれる)ようなシステムは改めるべきではないだろうか。実際、プライバシー規約をきっちり読んで、なるほど代行業者の中には古本の提供者も含まれるのだな、と納得して買い物をするユーザーは少ないだろうし、そういう注意をしないと危険な世の中というのは、決してすみやすいとは言えないだろう。
さらに言えばこのシステムは、何らかの意図を持った人間に悪用される恐れのある一種の「セキュリティホール」でもあろう。「代行業者は、上記の業務を遂行するために必要な個人情報を利用しますが、それ以外の目的で利用することはありません」と書いてあるから安心、というわけにはとてもいかない。
投稿者: Naoaki Yano | 2005年11月03日 14:11