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2006年02月17日

西垣通『情報学的転回』(春秋社)

情報学的転回―IT社会のゆくえ
IT技術が社会に与える衝撃の大きさについては今さら言うまでもないが、とくに日本人とITの関係を考えると、メリットよりもデメリットの方が強いのではないかと危惧せざるを得ない。

わが国情報学の先達が「語りおろした」本書は、副題に「IT社会のゆくえ」とあるように、「現在のIT文明の猪突猛進を、われわれ人間の解放のために文字通り『転回』させる」必要性を訴えている。学問的研究書ではないために、かえって自由な発想が横溢している。

デジタル技術の衝撃を正面から受け止め、かつての「言語学的転回」に続く「情報学的転回」が必要だという問題意識には共鳴するところが多い。とくにコンピュータに埋め込まれた「ユダヤ=キリスト教的な、一神教的な進歩思想を根底から批判するだけの論理を、われわれは模索していくべきではないか」という主張の骨子や、古代インドのヨーガ哲学を引き合いに東洋的な思想の見直しを促している点は、今後のIT文明を考える上できわめて示唆的だと思われる。

投稿者: Naoaki Yano | 2006年02月17日 18:09

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