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2006年06月02日

シンポジウム「情報社会の倫理と哲学を考える」

インターネットの新潮流「Web2.0」については、本ブログでも関連書籍の紹介を通じて私見を書きつけているが、要は、コンピュータ技術のさらなる進歩でパソコンやアプリケーションソフトは(ケータイも含めて)、いよいよサイバー空間にアクセスする足回り程度の(小さな)存在になりつつあるということ、それとは逆に、サイバー空間そのものは豊富な機能を内蔵しながら強力に拡大している、ということである。

Web2.0の特徴は「ユーザーの積極的参加」だと言われる。たしかにグーグルやアマゾン・コムは、膨大な資金や人手を投入して開発したツールを惜しげもなく無料提供しているが、人びとがこれらの便利なツールを使ってメール交換したり、ブログ発信したり、検索したりする行為そのものが、じつは彼らのビジネスの糧だからである。

それは、私たちが検索サイトやオンライン書店を便利に使っている行為そのものがサイバー空間の重要な構成要素になっており、それが彼らの営利活動と不可分に結びついていることを意味する。別の見方をすれば、サイバー空間と現実世界の境界はいよいよあいまいになり、私たちはまるごとサイバー空間に呑み込まれつつある。

だからこそ私たちは、サイバー空間のあり方に無関心でいることはできない。「サイバーリテラシー」の重要性を叫ぶ理由でもある。それは、これから私たちはどう生きていけばいいのかを、一人ひとりが否応なく考えざるを得ない時代になったということでもあろう。

横浜市にある情報セキュリティ大学院大学(辻井重男学長)が6月14日(水曜日)に開くシンポジウム「情報社会の倫理と哲学を考える」は、そういった大問題をテーマにしている。

応用倫理学の先駆、加藤尚武・京都大学名誉教授の基調講演のあと、牧野二郎・弁護士と高木浩光・産業技術総合研究所主任研究員が法と技術の両面から、より具体的な話題を提供してくれる。その後に関根千佳・ユーディット代表取締役にも参加していただき、パネルディスカッションを開く。同大学客員教授としての私が司会をつとめるが、とりあえずは「IT社会の合意形成と情報倫理」あたりにしぼりながら議論を進められればと思っている。

投稿者: Naoaki Yano | 2006年06月02日 11:49

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