『モダン・タイムス』(1936 米)

モダン・タイムス Modern Times [Blu-ray]  ども。kikです。エマ・ワトソン主演の 『ザ・サークル』 を観てきました。アメリカ本国での興行実績から、あんまり期待せずに観たんですが、なんというか、本国で酷評された理由も含め、サイバーリテラシーを考える上では教科書みたいな作品でした。いろんな意味で。

 まあ、(『ザ・サークル』の主人公のように)自分のプライバシーを常時SNSで公開していたら、精神的に追い詰められていくのは当然です。エマ・ワトソン自身、Twitterで2500万人からフォローされているというから、かなり追い詰められているんじゃないでしょうか。この作品で。

 さて、最近は「SNS疲れ」という言葉をよく耳にしますが、人間、四六時中テクノロジーに囲まれていたら疲れるに決まってます。…と分かっていても、一度入り込んだら、なかなか抜け出せないのがSNS(情報)社会の怖いところ。

 だって、社会全体がその方向に流れちゃってるし。先輩から「友だち申請」来ちゃったし。あの娘の、どーでもいいランチ写真に「いいね!」しておかないと冷たい人と思われそうだし。上司の、会ったこともないクソガキ 子ども写真に「可愛いですね!」とかコメントしておくのも仕事の内だし。フォロワー数が少ないと、友だちいない奴って思われそうだし。

 そういう流れに逆らい、あるいは立ち止まって、「自分にとって本当に大切な/必要なモノは何か」なんて考え直すのは、そう簡単なことじゃないですからね。サイバーリテラシーの実践は、案外難しそうです。

 ところが。世の中には、そうした「心理的不可能の壁」を、あっさり乗り越える人もいます。本作のチャップリンもその1人。本人はそんなこと自覚していない(という役だ)から、その右往左往はメッチャ笑えますが、同時に、逃げ場のない(と思い込みがちな)社会に、思いがけない視点を与えてくれます。ほんと、「笑い(ユーモア)」 って大事ですよね。

 機械化社会に翻弄され、時代に取り残される主人公ですが、実は誰より 「テクノロジー社会の中で、いかに人間性を維持し、いかに幸福を見いだすか」 を考え、テクノロジーに縛られる社会の滑稽さを嗤います。

 巨大な歯車に巻き込まれるチャップリン同様、僕らも(好むと好まざると)この情報社会からは逃れられません。だからこそ、それらと上手に向き合い、追い詰められる前に、自分や社会を笑い飛ばす余裕が必要なんです。

 …という意見をTwitterに書いて、エマ・ワトソンから「いいね」を貰おうと思います。わははは。

 ちなみに。本作のエンディングで、全てを失った主人公が、未来を求め、大切な人と歩き始めます。
 流れる曲は、『スマイル』です。

監督 チャーリー・チャップリン
出演 チャールズ・チャップリン ポーレット・ゴダード 他
作曲 チャーリー・チャップリン

Smile