小西議員の発言は「サルに失礼です」
B 元朝日新聞記者・鮫島浩氏のSAMEJIMA TIMESが毎週続けている動画「ダメダメトップ10」は、近ごろ大手メディアでは聞けない正論が堂々と展開されていて、常々愛聴していますが、とくに4月10日の放送には感心しました。
例の放送の公平性問題で高市総務相を追及した立役者、立憲民主党の小西洋之議員が衆議院憲法審査会の議論を「毎週開催するなんてサルのやることだ」などと批判したことで、当の立憲民主党から参院憲法審査会の野党筆頭幹事を更迭され、党参院政審会長も辞任することになりました。いろいろ開いた口がふさがらない事態です。
小西議員はせっかくの功をフイにしかねない言動をしたわけで、まことに浅慮、残念だったと言えますが、一方で、立憲民主党が他党の批判攻撃から小西氏を守ることなくそそくさと処分し、せっかくの放送法をめぐる論議に自ら蓋をしてしまったのは、敵に塩を送るようなもので、最大野党としての闘争姿勢を大いに疑わせました。
そういう中でSAMEJIMA TIMESがこの問題をダメダメトップ2に位置づけた理由は立憲民主党のふがいなさです。しかもそこで山本太郎の参院憲法審査会の発言を取り上げたところに、ジャーナリストの慧眼を見た思いですね。
山本発言は一部しか紹介されていませんが、要旨は以下の通りです。
これ、たしかに問題発言なんですね。サルに対して失礼であり、サルに対して謝罪すべきだと(思います)。サルは高度に社会性のある動物で、群れの明確なルールを守り、実力者が裏でこそこそルール変更したりしません。力にものを言わせた政治支配とも無縁と言えます。いま一部与野党の国会議員がやっているような姑息な火事場泥棒的なルール変更をサルは画策したりはしない、これらの国会議員たちと同列に置くのは、サルに対する冒涜です。
憲法審査会を毎週開くのが問題であるわけではないです。いま日本にはびこるさまざまな違憲状態、憲法に定められた国民の権利を無視した政策をチェックし、改善するための議論に集中するなら、週何回開催されてもたりないくらいです。‣‣‣。自公政権は生活保護基準引き下げを進め、憲法25条が定める最低限の生活を壊してきました。‣‣‣。同じ群れの中で、生殖の権利を奪い、飢え死にするところまで追いやるなどサルならば絶対にやらない。最近の憲法審査会では、国民の権利をさらに制限しようとする改憲提案ばかり議論し、回数を重ねたことを口実に国民が望んでいない改憲案を発議しようという意図が見え見え、本国会の衆議院憲法審査会では内閣に国会の賛成が不要な緊急政令制定権、政府の裁量で予算執行する緊急財政処分権限を付与する提案が出されている。国民が経済的に疲弊し、コロナから立ち直れないうちに戦前の法体系に戻そうとする動きです。こんな姑息なルール変更はサルはやらない。ほんとうにサルに申し訳ない限りです。小西議員にはすべてのサルに対する真摯な謝罪を求めたいと思います。
サルへの謝罪にことよせ、自民党の改憲審議のやり方を批判しているわけです。もう少しましな議論をしないようでは憲法論議が泣くというように、小西議員の舌足らずな失言、と言うより暴言を丁寧にフォローして、ある意味で小西援護を行ったとも言えます。この山本演説に対する立憲民主党などの政界、さらにはメディアの鈍感な対応も含めてダメダメ2にランク付けしたようです。
遠い昔、中国は三国志の時代、蜀の丞相、諸葛孔明は作戦に失敗した部下の首を泣いて斬った。「泣いて馬謖を斬る」という諺の由来だけれど、泉健太立憲民主党代表のいつもニコニコというかニタニタ笑っている表情には闘う野党代表の表情は見られないですね。
鮫島記者によると、立憲民主党内で堂々と小西議員を擁護したのは原口一博議員程度で、参議院憲法審査会に出ている護憲派の雄(?)、辻元清美議員は発言なしだったと言います。一人気を吐いた山本太郎代表に言及したSAMEJIMA TIMESの意図は、山本太郎の正論に対する敬意だと思いました。
A 参院憲法審査会をリアルタイムで見ましたが、途中で馬鹿々々しくなりました。各議員が原稿を読み合わせるだけで、読み終われば散会ですよ! 学芸会かよ! こんな状況では、まったく自公の思うがままですね。
山本代表の小西議員のサル発言を逆手にとった政権批判はまことに見事でした。短い時間なのでやむをえないとは思いますが、原稿読みではいつもの舌鋒鋭い論調とはちょっと物足りない気もしたが、まあ、これは贅沢過ぎますね(^_^;)。共産党の山添拓さんと仁比聡平さんは、やはり原稿読みでしたが、共に正論でした。
B 審議の場数を増やして長時間審議したように見せかけ、それを既成事実に自民案を一方的に押しつけようとするやり方に、野党はなぜなすすべもなく呑み込まれてしまうのか。まことにふがいないと思います。
社会民主党の福島瑞穂議員が言及していたけれど、戦前の帝国議会でも斎藤隆夫議員の「反軍」演説のような立派な意見陳述が行われた歴史があるけれど(1940年、この演説の結果、斎藤議員は衆議院議員を除名されている)、いまの国会の論議はまことに情けない。気迫も知力も戦前にすら及ばない状況です。
この山本発言は名演説の一つに加えていいと思いますね。山本太郎には斎藤孝夫に匹敵する勇気と気概があると思います。メディアは例によって、この問題を正面から論じないし、その見識もなさそうに見えるけれど、メディアについては前回ずいぶん言及したので、いまさら論ずる気も起りません(^o^)。
・れいわはなぜ神奈川に候補を擁立しなかったのか
A 統一地方選の前半(知事選、県議選など)が終わりましたが、維新だけが躍進、共産党はだいぶ票を減らしました。問題はやはり立憲民主党の不振ですね。奈良や徳島の知事選では保守分裂になりましたが、奈良では維新候補が当選、徳島では3分裂の中で自民候補が当選しました。大阪で知事、市長ダブル当選、しかも圧勝した維新は、関東でも勢力を拡大しました。こういう報道に接すると脱力感しかないですね。
B 神奈川は選挙期間中に黒岩祐治知事のスキャンダルが報じられましたが、残念ながら対立候補が共産党ではやはり勝てませんでした。今の立憲民主党には政権交代をめざす気力がまったく見えません。もはや滅びるしかない印象すら受けます。
れいわはなぜ神奈川で候補を立てなかったのか、というのが僕の大いなる疑問です。れいわは今回、1議席も獲得できずに終わったわけですね。それはそれでやむを得ないとも思いますが、SAMEJIMA TIMESも選挙総括でふれていましたが、もし神奈川で名もある立派な候補を立てていれば、黒岩スキャンダルの影響もあって少しは票を獲得できた、というより、勝てた気もするわけです。
れいわの選挙戦略には山本太郎の演説のような冴えが見られない。現体制のけっこう深刻な欠点ではないかと思います。
A 山本代表は統一地方選後半に向けて意気軒高なところを見せていますが……。共産党が議席を減らしたのは委員長公選制要求に対する党本部の威圧的な態度が影響したとも言われるけれど、野党で上り調子なのは、自民よりタカ派の維新だけという状況はまことに情けない。その責任はどこにあるかというと、結局、立憲民主党のふがいなさ、闘争意欲喪失に帰着せざるを得ないですね。まったく笑っている場合じゃないですね。