10人に1人が80歳以上の「超高齢社会」
健康な生活をめざして禅密気功に励んでいる日々ではありますが、日本社会、および世界の情勢はけっして健康とは言えない状況です。とくに日本の現状はひどい。2回にわたって、私たちの周りの情勢について考えておきたいと思います。
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2023年の敬老の日(9月18日)にあわせて総務省が発表した人口推計によると、80歳以上が総人口に占める割合が10.1%となった。なんと10人に1人が80歳以上となったわけである。
65歳以上の人口が総人口に占める割合を老齢化率と呼び、7%以上を高齢化社会、14%以上を高齢社会、21%以上を超高齢化社会と呼ぶ習わしだが、日本の高齢化率は29.1%、ほぼ30%である。これは2022年の段階でモナコに次いで2位である(グローバルノート – 国際統計・国別統計専門サイト)。しかも国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2040年には総人口の34.8%になるという。
また2022年版の世界保健統計(WHO)によると、平均寿命(各年における0歳児の平均余命)が80歳を超えている国は世界中で31カ国あり、日本はもっとも高い。私は「超高齢社会」という呼び方を使っているが、日本は世界屈指の超高齢社会である。しかも同時に、急速に進む「少子化社会」でもある。
内閣府によれば、「少子化とは出生率が低下し、子どもの数が減少すること」で、出生率には普通、「合計特殊出生率(その年における15~49歳の女性の各年齢別出生率を合計した数値)が使われる。日本の合計特殊出生率は、2022年が1.26で過去最低、しかも7年連続の下降となった(厚労省発表、人口を維持するためには2.07が必要と言われる)。要は、若い人が子どもを産まなくなっている。
その結果として、人口構成を年少人口(0~14)、生産年齢人口(15~64)、老年人口(65以上)に分けて見ると、11.9、59.5、28.6(各%)となり、 老年人口が年少人口を上回っているし、世界平均の25.4、65.2、9.3(各%)に比べると、日本の高齢化、少子化傾向が際立つ(内閣府、令和4年版「少子化社会対策白書」)。将来的に、いよいよ高齢者は増え、若者の数は減る。これは高齢者だけの問題だけなく、若者の問題、いや社会全体で考えるべき大問題だろう。
別のグラフを見ると、日本の高齢化は戦後急速に進んだことが明らかである。その過程には高度経済成長があったが、それも今は昔、ここ30年、日本経済はむしろ衰退しており、私たちの前途には大きな苦難が横たわっていると言っていい。
・前途に横たわるさまざまな問題
ジェロントロジー(Gerontology)という言葉がある。一般に「老年学」と言われるが、日本総合研究所の寺島実郎が提唱するように、むしろ「高齢化社会工学」ととらえ、日本社会を今後どうするのか、そこで日本人はどう生きていくのかを大きな構想力をもって議論していくべき時だと思われる(『ジェロントロジー宣言』NHK出版新書)。
本書によれば、たとえば、「現在、企業に就職した新卒者のうち3割が3年で転職していく」など、終身雇用制度はすでに崩れている。また、「戦前の日本で『大人になるために身につけるべき基本』とされた和漢洋の教養は、すっかり失われてしまった」という全体的な知的劣化も否定できないだろう。「高齢者ほど安倍政権の経済政策であるアベノミクスを支持する構図になっている」という気になる指摘もあった。
超高齢社会にはちょっと考えただけで、以下のような問題がある。
・人口構成が「高齢化」することで、社会そのものの活力が奪われる。
・生産年齢人口減少による経済の一層の衰退。年金制度の崩壊と若者の閉塞感、および生きがいの喪失。
・政治や経済、社会の公的な役職に老人が居座るための「老害」。
・逆に弱者としての「老人切り捨て」。
・失われた「隠居」というライフスタイル。成熟、老成できない老人。
最近は老後を快適に過ごすために海外に移住する人も出ているし、逆に日本に職を求める外国人も少なくない。世界中から多くの観光客もやって来る。日本を「捨てて」海外に出ていく若者もけっこういるようである。そういう若者が日本に帰ってくることはまずないだろう。世界中の社会的移動が活発になっており、これからは日本民族純潔主義的政策で国の将来を考えることは難しい。
にもかかわらず、現自民党政権は全地球的視野でものごとを考えることができず、入管制度を厳しくするなど、外国の安い労働力だけ使おうという古い発想から抜け出ていない。女性登用にしても、男性社会に迎合するような人材や親譲りの世襲、選挙で勝てるタレントばかり集めるから、国会議員でも女性候補の数そのものが少なくなるし、とんちんかんな行動やひんしゅくものの答弁をする人も後を絶たない。
こういうことでは、世界のトップを走り続ける超高齢社会の世界モデルを構築し、そのことで世界に貢献、あるいはリードするなどということはまず不可能である。こういう難題を抱えていることを前提にしつつ、私もその立派な一員である高齢者自身が健康に、そしてまっとうに生きていくための工夫や知恵を考えていきたいと思っている今日この頃かな(^o^)。