菜の花咲く春なのに、まともな政治はまだ来ない
B 去年の今ごろ、本コラム㉕<訪れた春を愛でつつ、つれづれ閑話>で伊勢の梅林の写真を紹介していただきましたが、今年は菜の花と富士山でどうですか。2月12日神奈川県二宮町の吾妻公園での写真です。富士には月見草より菜の花ですよ(^o^)。
春は花 夏ほとゝぎす 秋は月 冬雪さえて 冷しかりけり(道元禅師)
A だんだん陽気がよくなってきましたが、日本の政治は相変わらずの混乱ぶりですね。
二階俊博元自民党幹事長が政治資金収支報告書修正で示した3000万円の書籍代には開いた口がふさがらないですね。2020年から22年の3年間で3000万円分の本を買ったというんですね。自著や知り合いの本買い取りなどが申告されているけれど、ふざけるなと言いたい。それがもし事実だとして、自分や自民党にヨイショする単行本や雑誌を大量に買っているとすると、これはまったく宣伝工作ですね。官房機密費なども自民党支援や右翼的な書物を大量購入し、結局は自民党支持の温床づくりに使われていると、十分想像できますね。一種の世論操作です。
一方で能登地震の復興はいっこうに進んでいません。自民党政治家がポケットマネーからポンと3000万円を寄付したという話も聞かないですね。
B 自民党の「裏金アンケート」結果を見ましたか。東京新聞(2.14付)に「アンケートで不記載が確認された自民党議員」とその訂正額が載っていますが、明らかにされただけでも2018年から2022年の間で85人計5.8億円の不記載があった。何に使ったかわからないこれだけの金が、裏金として政治資金収支報告書に記載されていなかった。今回それを修正したからと言って、それで話がおしまいというのもおかしい。
A これらの金は無税です。折しも確定申告が始まっていますが、我々の税金に関しては厳密に取り立て、政治家はノンズロというのはあまりにひどい。岸田内閣の支持率はさらに低下しているようだけれど、それにしても日本人はおとなしい。こんな政治など覆すべきでは。
岸田首相の国会答弁も腹立たしい。言葉では「率先して改善に立ち向かう」と言うけれど、彼の頭の中はこの裏金事件を自分の政権延命に利用したいという思惑だけのようです。それを追及する野党も、メディアもまことに手ぬるい。
B ここでもれいわ新選組だけが突出しています。「つまりは何か」という動画で山本太郎が言っていることはまことに正論だと思います。
国会の中で(れいわが)嫌われる理由は何か? れいわがなければ、自分たちがこれまで仲良くやってきたものを外に漏らされることなかったんですよ。うまくやってたことのその内容を外にばらされるってのが一番嫌なんです。だからいつでも潰すタイミングをねらわれてるんです。懲罰とか除籍とか、与党だけじゃなくて、野党もですよ。‣‣‣。政権交代をしていくためには、まず野党を強くしないとダメなんです。今の野党は与党からとってみれば脅威でも何でもないんです。どんなことがあったとしても、自分たち選挙で勝つと思っているから、この野党を強くしていくためには、2つのものが必要なんですよ。1つは国会の中で徹底的に対峙して戦う野党です。闘ったふりではなく。そしてもう1つは徹底的にこの国の経済を立て直すための太い経済政策なんです。この2つ、野党の中に注入していくためには、私たちがまず強くなる必要がある。もう変えるしかないんですよ。こんな世の中。冗談じゃない、やってられない。
A 主として企業が政治パーティ券を購入したお金が裏金としてよくわからない使途に使われているわけですね。企業側からみると、いずれにしろ献金した議員は自分たち企業に有利な政策を遂行してくれるから、それでいいということかも知れないけれど、どうですか。
日本はとうとうGDPでドイツに抜かれて世界4位になったという報道がありましたが、人口を考えると、一人当たりGDPではもっと低いでしょうね。自民党に献金して税金を負けてもらおうというような姑息な考えが、結果的に、企業の創意工夫へのエネルギーを喪失させ、世界における日本企業衰退の原因になったんじゃないですか。日本経済を再生するためにも、企業献金をやめるべきでしょう。
B そうですね。もっとも森永卓郎『ザイム真理教』(三五館新社)は、日本経済30年の不振は「急激な増税と社会保険料アップで一般国民の手取り収入が減ってしまったから」だと書いています。財務省は、とにかく財政正常化を図りたい。そのためには借金を減らすべきで、だからなるべく国債を発行したくないというのに尽きる。政府の方針に逆らわず、大企業に不利な増税もせずに財政均衡化を図るためには、結局、抵抗の少ない庶民から税金を巻き上げるしかないと考えるわけですね。そのためには「消費税はすべて社会保障費に回す」というような嘘を平気でつくし、年々膨大になる軍事費増額には当然、抵抗しません。
彼によれば、財務省は二重の誤りをおかしてきた。第1は歳出の範囲内に支出をおさめるというあやまった財政均衡論に立っていること、第2に支出増を所与のものと考えるから、それらの出費を補うために抵抗の少ない弱者から税金を取り立てようとする。著者はこの財務省の均衡政策を信じている国会議員や一部の経済学者、多くの国民を「ザイム真理教」の信者だと弾劾してます。ザイム真理教の教義は「国民の命より財政」というのに尽きるようです。前々回ふれたように、野党第一党の立憲民主党はザイム真理教の信者になっている。積極財政を説くれいわはここでも余計者扱いです。
なぜ日本の政治はかくまで堕落したか。自民党ばかりでなく、平成の政治家そのものが昭和に比べて著しく劣化したと思いますね。政治家ばかりでなく、経営者も、そしてメディアも。
我々世代は、一応、戦後民主主義教育で育てられ、かなりの人が平和、民主主義、主権在民などの理念を当たり前のように考えてきたけれど、もちろんそうでなかった人もいて、どうも平成の中頃(2000年代)から時代の空気が変ってきた。世界的にはポストモダンの風潮とも関係すると思うけれど、まっとうな生き方が「暗い」とか「ダサい」とか受け取られるようになってきた。保阪正康『平成史』(平凡社新書)は、これを「戦後の終わり」だと言っているけれど、より正確に言えば、「戦後精神」の終わりですね。
1994年(平成6年)に成立した小選挙区比例代表並立制の選挙制度改革も影響しているようだが、その動きを決定的にしたのが戦後生まれの首相による安倍政権だと思います。保阪さんは「つまり〈戦後〉という語が死滅していくのをもっとも象徴しているのが、第1次および第2次安倍政権だった」と述べ、さらに「政治の劣化は、安倍晋三首相の発言や答弁を見ていくと、もっと明確になってくる。「私(首相)は立法府の長である」と言ってみたり(正しくは行政府の長)、「云々」を「でんでん」と読んだり、冗談でも言っているのではないかという状態だ。この首相は、人と議論を交わすのが不得手らしく、すぐにムキになったり、自己陶酔したり、はては自分の都合のいいように答えたり、国会での議論をほとんど死滅状態にしたといっていいであろう。劣化の根本原因は首相の態度にあるということになる」とも述べています。
第2次安倍政権は2012年(平成24年)成立だから、平成末期にあたるけれど、2020年(令和2年)まで続き、この間に「戦後精神」崩壊の最終仕上げをしたと考えられますね。安倍元首相の毒を我々は「アベノウィルス」と呼んできたわけだが(「日本を蝕んでいたアベノウイルス」、『山本太郎が日本を救う』所収、アマゾンで販売中)、現在露呈している裏金問題は、このアベノウィルスのエキスでもあるでしょう。
A 日本政治を徹底的にダメにした自民党安倍派は、つい最近まで最大の派閥を誇り、まさに「裏金」政治をしてきたわけです。アベノミクスについて安倍首相自身が「見かけだけよければいい(やってる感だけ出せばいい)」という態度だったわけで、その間に、日本経済はいよいよ衰退に向かったわけですね。いま安倍派は解体、岸田派も解体を宣言して、これまでの派閥は表面的には消えるようだけれど(麻生派などは存続)、目立つのは、このような政局がらみの話ばかりで、企業の政治献金廃止とか政治資金規正法改正とかいう抜本的な論議はいっこうに進んでいません。
なんとなく改善するようなふりをしてその場をやり過ごそうとしている政治を野党も許しているわけで、やはりここは「嫌われ者」れいわの出番だと思います。
次期衆院選にれいわ新選組の高井たかし幹事長が立候補するようです。まだ選挙区は公表されていないけれど。次期衆院選はほんとうに正念場です。れいわに大いに頑張ってもらいたいですね。
れいわ三重サポーターズも燃えていて、ポス活(ポスター張り)をグループで展開しています。先日、二見町での活動に参加し、9枚張れてまずまずでした。ところで、れいわの仲間が教えてくれた初音ミク歌うところの「政権交代の歌」をぜひ聞いてください。これが全国の商店街でスピーカーから流れるといいですね!