新サイバー閑話(110)<折々メール閑話>51

もはや自民党(岸田政権)にはつける薬もない

A 国会は相変わらず茶番づくしですねえ。衆議院で2月29、3月1日と開かれた政治倫理審査会で「裏金」問題を追及された自民党旧阿部派の歴代事務総長4人、塩谷立座長、松野博一前官房長官、西村康稔前経済産業相、高木毅前国対委員長はいずれも「歴代派閥会長と事務局長の間で長年、慣行的に扱ってきたことで、「自分は知らなかった」、「私は関わっていない」などと答弁しました。
 多い議員では3000万円以上の裏金を受け取っていた長年の慣行へのかかわりを否定したのだが、これらの収入に税金を徴収されないのはおかしくないのか、といった事の是非に関する感覚はまったくない。一般国民とはまるでかけ離れている〝特権〟意識に、自民党政治の腐敗ぶりが表れています。14日の参院政倫審には世耕弘成(元参院幹事長)、西田昌司、橋本聖子の3議員が出席しましたが、世耕議員の「知らぬ、存ぜぬ」答弁には開いた口がふさがりませんね。 
 それにしても岸田首相はひどい。政倫審には〝率先〟して出席しましたが、従来通り「全力をもって政治改革につとめる」と空疎な原則を繰り返すばかりで、自民党総裁としての責任感はまるでありません。指導力もない。こういう無責任な集団が国の政治を動かしているわけですね。
 しかもその間、2日には衆院本会議で2024年度予算案が自民、公明両党などの賛成多数で可決、参院での審議に関わらず自然成立することになりました。その際、抵抗姿勢を示すために立憲民主党から小野寺五典予算委員長解任決議案が提出され、本会議で型通りに否決されています。これに牛歩や棄権などで抵抗したれいわ新選組の大石あき子、櫛渕万里両議員が「演壇で不規則発言をした」ことで、議運委理事会の与野党総意の「国会の品位をおとしめた」という理由で厳重注意処分を受けました。「国会の品位を汚す」という表現が天に唾する行為であることすら感じられない瀕死の状態に国会はあるということでしょう。
 薩摩藩の二歳教育で真っ先にたたみ込まれるのは「廉恥」だったそうですが、まったく恥を知れ、と言いたいですね。自民党議員たちはこの言葉をもしかしたらマジで知らないのかも。

・「総理、いつやめるんですか」

B 5日の参院予算委員会でれいわの山本太郎代表が「総理、いつやめるんですか」と切り出して、「金と政治の問題に関しては国会で法改正しなくてはならないと考えています」と原則論を述べた岸田首相に対して、「それって面の皮が厚いと言いませんかね。自民党の4分の1の議員は裏金ネコババの泥棒なんですよ。泥棒行為を是正する法律を泥棒といっしょに作るっておかしくないですか。もっと言えば、泥棒が作った予算案を普通に審議している現在もおかしいし、泥棒が作った数々の法案をこれからこの通常国会で成立させようということ自体、あり得ない話ですよ。これに対して粛々と泥棒予算を審議し、最後だけちょびっとだけ闘うふりをして、結局、年度内成立に力を尽くした野党第一党もグルだと言えます。国民の真意を問う必要があります。総理、解散しないんですか」と腹立ちまみれに畳みかけていましたが、これこそ多くの国民の声でしょう。

A 馬鹿につける薬は無い。ぐっと下世話な話になりますが、岩手県選出の広瀬めぐみ参院議員が不倫現場を週刊誌に暴かれ、その事実を認めました。彼女は以前、パリ〝研修〟旅行で話題になった「エッフェル姉さん」の一員です。
 また8日には、近畿の自民党若手議員らが参加した昨年11月の「青年局近畿ブロック会議」後の懇親会で、下着と見まがうような露出度の高い衣装をまとった複数の女性ダンサーを招いてはしゃいでいたことが産経新聞によって報じられました。自民党和歌山県連の主催で、会合に出席していた党本部青年局の藤原崇局長と中曽根康隆局長代は辞任、企画者の和歌山県議は離党しました。
 こういう話は、取り上げる方もうんざりですね。ことさら暴き立てたくない気持ちもあるけれど、産経新聞によれば、会合費用は党本部や県連が支出したと言い、公費が含まれている可能性がある。ここが問題ですね。

B 芸人の松本人志の性加害問題がまだ尾を引いていますが、彼は税金を使って〝遊んだ〟わけではないですね。公費を使うことや税金を払わないことに対してまるで無神経なところが末期的たる所以です。3月13日の東京新聞に「不祥事や問題が発覚したた岸田政権の政務三役や自民党議員」のリストが上がっていますが、まさに惨憺たるものです。

 A 自民党のタガが完全に外れていますね。戦後70年、事態はここまで崩壊した。

B 最近、知人に勧められて平山周吉『昭和史百冊』(草思社、2023)を読みました。昭和史に関する文献ガイドと著者が書いた書評を集めたものですが、掲載されている本は400冊に上るという労作です。
 無謀な戦争に突き進んだ日本の政治に対する検証や反省がこれだけ膨大に積み重ねられているのに、その悪弊がそのまま戦後の現代政治に反映されている。
 こういう文章も紹介されています。「なぜなら、決断すべきときに必要な決断が下されず、それによって戦争終結が遅れ、それによって膨大な命が失われたからだ。終戦工作は完全な失敗だったのだ。/八月の三度の「聖断」を待つまでもなく、当時の日本に戦争を続ける合理的理由など何もなかった。国土は度重なる空襲で焼け野原、国力は疲弊、兵士も国民も飢え、一撃を与える戦力すらろくに残っていなかった」(吉見直人『終戦史――なぜ決断できなかったのか』から)。
 2024年度予算には、開催への懸念が日に日に高まっている大阪万博関連費用も含まれていますが、これだけ問題が多く、開催しても客が集まるかどうかもあやふやなオワコン(すでに終わったコンセプト)プロジェクトに今も税金が注ぎ込まれ、開催準備作業が遅れがちな能登地震の復興作業を尻目に続けられているわけです。太平洋戦争の時と同じように、関係者はだれも止めようとしない。戦争と言えば、戦後日本が禁じてきた武器輸出に関する歯止めも最近、どんどん外されつつあります。

A まっとうな生き方に対する強靭さ、しなやかさが完全に失われた。

・「救民内閣」は5回の選挙を経て実現

B だからこその「救民内閣」だとも言えるでしょう。泉房穂元明石市長のこの構想については<岸田政権崩壊で加速する政局の「液状化」㊹>でも紹介しましたが、かなりの反響を呼んでいると言い、その後も改訂作業が続けられているようです。直近の「泉チャンネル」では、以下のように言っています。

救民内閣構想の柱は2つである。
 ①政治の目的は結果責任。結果というのは当選とか政権交代ではなく、あくまでも国民の生活、国民の笑顔、国民の安心、そこまで届けきることが大切。そこに目標を設定すべきである。
 ②希望を持てば実現できる。遠い遠い先ではない。場合によっては一瞬でそういう状況を作ることができる。諦めから希望へ。
 道筋についてはたたき台を出し始めたところだが、私が最初に言った道以外でも可能ならばそれでもいいと考えている。基本は「国民から遠いのか」と「国民に近いのか」。今の政治は国民というよりも一部の有力者とか永田町を見た政治と言わざるをえない。
 具体的なシナリオは「7つのステップ」である。
 ①世論喚起
 ②大同団結
 ③候補者調整 小選挙区で一騎打ちに持ち込むことが大事。
 ④政権交代 これはゴールではなく、中間目標でありスタートである。
 ⑤方針転換 政策方針を変えないことには国民は救われない。具体的には食料品などの生活必需品は消費税をゼロにする。子育てにかかる医療費、保育料、給食費などの無償化、教育、授業料の無償化など。
 ⑥国会での可決 465の衆議院定数のうち232議席を占められれば総理大臣の指名まではたどり着けるが、全議員が政策転換に合意するかどうかはわからない。さらに解散総選挙を打つべきで、大きな方針転換に賛同しない議員は候補者を差し替え、政策転換に賛成する233人を揃えてもう1回選挙をする。法制定も含めてしっかりと大転換を図るには参院でも過半数を取る必要があり、そのためには当面、2025年、2028年の2回の参院選に勝つ必要がある。
 ⑦令和の大改革 衆院3回、参院2回の選挙に勝てば、令和の大改革が実現する。近ければ2028年には日本の夜明けが来ると期待している。

 泉氏は現在60歳。令和の大改革に邁進するつもりのようで、少しレンジの長い話です。古代中国、周の周公は横暴を重ねる殷の紂王を滅ぼすために、生まれたばかりの女性を紂王好みに育てることから始めたという故事があります。その娘こそ名高い妲己(だっき)だけれど、そこまでの長期戦略でなくても、1回の選挙で政権交代が行われ、それで万歳というほど、ことが簡単でないのは確かでしょう。ここまで壊れた政治を立て直すにはそれだけの戦略が必要でもあり、国民の側もそれなりの覚悟が必要です。
 われわれとしては次期衆院選でれいわの20議席確保に賭けているわけだけれど、「救民内閣」構想のような大きな流れにも目配りをしていかなくてはいけないですね。
 泉構想に期待をかける知人が、れいわが一部の若者に嫌われる理由として「押しつけがましい」ことを指摘していたけれど、なるほど、山本太郎は我々にとってはまさに若手のホープだけれど、若い人にとっては、うるさいおやじになっている面はあるかも。ここは大いに自戒すべきですね。

・着実に広がるれいわの支持率

A 以前 (「号外」)、センキョという会社が実施している去年12月の世論調査で、れいわ新選組の政党支持率が11.9%と高く、自民党18.6%、日本維新の会14.1%にくらべて3位になったというデータを紹介しました。ところが今年2月の調査では、なんと、れいわが12.9%で、これは自民の16.3%に次ぐ2位、野党第1位です。日本維新の会(12.2%)、立憲民主党(6.4%)を抜きました。さらに「次回総選挙の比例代表でどの政党に投票したいか」では、1位の日本維新の会(15.2%)に次ぎ、れいわ(14.8%)が2位になりました。これは自民党の14.1%をも上回りました。

B このセンキョという新しい会社の世論調査については、以前に「マスメディア好みというか、そちらに引き寄せられる層と、そうでない、どちらかと言うと、より平均的な層にかなりの意見の相違があるのではないか」、「センキョ層の人びとがそのまま投票行動に向かうかどうかは留保が必要で、投票しない確率が高そうだが、国民全体の意識としてはこちらがより正確なのではないか」と言ったコメントをしました。

A 以前はセンキョのウエブに行けば、この調査結果が見られたのだけれど、今はどういう理由なのか、何らかの手続きをしないと見られなくなっています。だから今回の表は伊達一詔さんの動画からの孫引きです。
 調査自体は定期的に行っているわけだから、そこでれいわの支持が高まりつつある傾向はかなりはっきりしていると思いますね。このところ万博問題なのでミソをつけている日本維新の会の人気が根強いのは、自民党に愛想をつかした人びとがかなりの部分、維新に流れているのかも。

B 新聞社系の世論調査でも、岸田政権の支持率は低下する一方ですし、自民党の支持率も低減傾向にあります。それでもなぜこんなに高いのかと思いますが、れいわの支持率は、わずかではあるが着実に伸びており、支持層の広がりを感じますね。

A れいわが支持を伸ばしているのはご同慶の至りですね。ところで、れいわ愛知勝手連の方が作曲されたという「れいわ音頭」をお聞きください。若い人にも聞いてもらいたいですね。