いざ衆院選、れいわは新たに17人擁立
B 自民党は石破茂新総裁が決まり、臨時国会で首相に指名され、ただちに組閣を実施しました。総裁選のころは「予算委員会の論戦を経て国会を解散する」と言っていたのに、いざとなると前言を翻して10月9日に解散、総選挙は同月15日公示、27日投開票の日程が決まりました。
石破首相は6日、次期衆院選では、政治資金収支報告書に不記載があった、いわゆる裏金議員に対して、旧安倍派の萩生田光一、下村博文、西村康稔ら6人を公認せず、約40人の同様議員は公認するけれど、比例代表への重複立候補を認めないとの方針を明らかにしました。8日には、新たに6人の非公認を発表しています。
内閣発足以来、石破首相は総裁選で表明していた持論を引っ込めるなど、党内基盤の弱さを反映してか、煮え切らない態度が目立ちましたが、ここは一定の筋を通した感じです。少なくとも高市早苗総裁が実現していたら、こういうことは起こらなかったでしょう。新聞社などの世論調査で新内閣の支持率が予想外に低かったことも反映したようですが、この方針には旧安倍派を中心に党内から激しい非難が起こっており、「コップの中の嵐」も相当、煮詰まっているようです。
A 何事も最初が大事ですよ。岸田首相の旧安倍派追随は発足直後に安倍元首相の国葬を決めたのが発端だと思いますが、長年、自民党内で冷や飯を食わされ、5度目の挑戦でようやく首相の座を射止めたのだから、思い切って自説を展開すればよさそうなのに、今度は党内事情に配慮してか、自ら好んで束縛されたような感じでしたが‣‣‣。
裏金議員にとってはけっこう手痛い決定ですが、裏金議員を公認しないというだけで政治とカネをめぐる不明朗な関係が解消されるわけではない。実質賃金が伸びない中で税金を払い続けている国民を尻目に、組織的に脱税まがいの裏金を集めて何の痛痒も感じない自民党議員の腐敗した体質をどう改めることができるのか。本質的な問題は置き去りのままの衆院選突入です。
B 9日には党首討論も終わり、国会は解散、ともかくも選挙の季節となりました。石破内閣に対する党内不協和音、この間の政治不信への世論の高まりもあって、自民党が現勢力を維持するのは難しいようですね。自民党公認を外された議員は苦戦するでしょうし、比例との重複立候補が認められないことは、たいした識見もなく、付和雷同的に当選してきた議員にとっては痛手だと思います。
このところ矢継ぎ早に立憲民主党は野田佳彦、公明党は石井啓一とそれぞれ新代表が決まりました。野田新代表が保守色を強めたことで、自民党の混乱に劣らず、野党もばらばらの状態で、とても団結して自民党に当たる態勢は取れていませんね。今回の選挙は稀に見る混戦になり、どういう結果になるのか、なかなか予想もつかない状況です。
・伊勢崎賢治、高井たかし、長谷川うい子‣‣‣。
A れいわ新選組は7日、すでに立候補が決まっている11人(その一部候補については、第46回=ついに「れいわの出番」がやってくる、第47回=いま力強く羽ばたくれいわの「白鳥」、に詳しい紹介があります。『山本太郎が日本を救う・第3集 混沌の先に激変の兆し』所収。アマゾンで販売中)のほかに新たに17人の候補擁立を決め、公表しました。これまでのところでは、現職の3人も含め、全員28名の陣容となります。
その中で注目されるのは、高井たかし(崇志)幹事長が埼玉13区・比例北関東ブロック、経済政策を担当している強力スタッフの長谷川うい子(羽衣子)が比例北関東ブロックから出馬するほかに、政府代表として国際紛争の現場で活躍してきた伊勢崎賢治が比例東京ブロックから出馬することです。
7日の会見で伊勢崎は「余生をれいわ新選組に捧げる決意である」と力強く述べていました。著名な彼の参戦は、れいわにとって大きな力になると思います。れいわのホームページでは「真綿で首を絞められるようにじわじわと生活と将来への不安がつのっていく。本来ならこれはマクロな国政の失策が累積した結果であるが、マイノリティ・異邦人に、大衆の注意を向けさせる。同胞人の機会を蝕んでいると、アラ探しをさせる。それをこれよとばかりに吹聴させ、またはその喧伝を黙認することで、マクロな失策をマイノリティのアラで覆い隠す。国を愛することはやぶさかではないが、こんな愛国主義は御免被りたい」と書いています。
また長谷川は「積極財政を基盤としたグリーン・ニューディールなどの政策を実現するため、れいわ新選組の躍進に力を尽くしたい」と述べています。
すでに大阪13区・近畿ブロックで立候補が決まっている、やはた愛の母親のやはたオカン(八幡さゆり)が兵庫8区から立候補し、母娘が同時に立候補するというめずらしいケースとなりました(やはたオカンは姫路市議会議員に立候補、落選した経緯があります)。
B 山本太郎代表は8日の参院質問で、とくに地震と大雨のダブルパンチで悲惨な状況に見舞われている能登地区救済に関して補正予算も作らないままに解散しようとしている石破政権に対して厳しく追及していましたが、17人の候補を擁立した記者会見では、野田代表選出で自民党政権とたいして差がなくなったように見える立憲民主党にも激しい闘志を見せていました。消費税廃止や積極財政などで当初から立憲とは相容れない関係でしたが、原則として現状容認に傾いた国家安全保障体制などをめぐり、もはや共同歩調を取る姿勢はないですね。
A 立憲民主党や日本維新の会などの野党も、政界・財界・官界の鉄のトライアングルに率先して包含されようとしている中で、いま国民の頼りになるのはどの政党なのか、少し考えればわかることだと思います。れいわ新選組こそ真の野党です。
たとえば、菅義偉元首相のお膝元、神奈川2区では早くから、れいわが若手の元外務官僚、三好りょう擁立を決めていましたが、立憲民主党はここに落語家をぶつけて来ていますし、沖縄4区でも、れいわの山川ひとしと別にオール沖縄が候補を擁立しました。一方でれいわも野田代表や前代表の枝野幸男などの選挙区に対立候補を擁立するなど、両者の亀裂は深まっているようです。
B いまや野党と呼べるのはれいわと日本共産党、社会民主党ぐらいですね。立憲民主党は裏金や統一教会問題などで高まる政権批判の世論と自民党内部の混乱に乗じて政権交代を目指すとしていますが、そこにはれいわも共産党も含まれていません。自民党政権がつぶれても、政策的にたいして変わり映えしない政権が誕生するとすれば、現状を抜本的に解決することは難しい。山本代表は早くから、れいわが議席を増やし国会での発言権を増大させることを第一義としていますが、その戦略の正しさががいよいよはっきりしてきたと言えますね。
山本太郎は記者会見で、衆院選での見通しを聞かれて「最低でも今の倍以上」と述べましたが、かつての「衆参両院で国会議員あわせて20人獲得をめざす」という目標からは控えめな発言でした。
A 自民vs立憲より、立憲vsれいわの対立図式が目立つようにも思います。
B 立憲は維新や国民民主と選挙協力をするかもしれませんが、れいわと共産党はそこからは外れた形ですね。選挙後にどのような合従連衡が行われるのか、ちょっと見通せない状況です。だからこそ、次期衆院選はれいわが議席を大幅に増やし、国会での発言権を増大するチャンスでもあります。
A 9月23日に野田代表が選出された直後に三重県津市で開かれた「おしゃべり会」に出ましたが、山本代表は「死人が蘇りましたね」と、消費税導入を決めて退陣に追い込まれた、かつての民主党、野田首相を皮肉交じりに批判していました。立憲は国民民主と合体して第2与党化するんじゃないですか。
会場はそう広くはなかったのですが満員の状態で、高校生が真っ先に手をあげて「山本太郎さんはなぜ政治家になったのですか?」と質問したら、「あ、デモの時にいたよね?」と、よく覚えていて、丁寧に答えていました。代表が「三重県は凄いですね〜、めちゃくちゃ手が上がる」と驚くくらい質問者が多かったです。
そもそも安保法制を容認する党が野党と言えるのか! れいわが先頭に立つしかない! そのためにもぜひとも衆参両院で20議席は確保したいですね。今回のおしゃべり会をきっかけに三重サポーターズは一気に会員が増え、79名になりました! 心強いです。マスメディアの世論調査では、れいわの支持率はそれほど上がりませんが、草の根レベルでれいわ支持がじわりと増えているのは確かだと思いますよ。
・有権者の見識と覚悟がためされる
B 今回の選挙では、有権者一人ひとりの判断がいままで以上に重要になってくると思います。それぞれの選挙区で与野党入り乱れた、しかも構図の違う選挙戦が繰り広げられるわけで、誰に投票するのか、どの政党に日本の将来を託すのかが、個別に試されます。加速する生活苦、裏金問題、統一教会問題、原発推進政策、憲法改正など、争点はいろいろあります。
統一教会問題にだけ言及すると、岸田前首相は統一教会と自民党との組織的な関係を一貫して否定してきましたが、それが真っ赤な嘘であったことは、9月3日に朝日新聞が報じた1枚の写真で明らかです。自民党本部の総裁応接室で写したと見られ、そこには安倍首相や萩生田光一、教団トップ会長らが写っていました。記事によれば、時期は自民党が政権復帰した翌13年の参院選公示直前で、教団側による自民党の比例区候補の選挙支援を確認する場だったとされています。
これだけ明白な証拠があるのに、統一教会問題に蓋をしたまま。今回衆院選で統一教会がどういう対応をするのかも含めて、よく注視していくべきでしょう。
A 今度の衆院選はかつてない混沌模様になると思いますね。自民党がダメだと言っても野党も乱立して票の奪い合いです。
B ところで、選挙ということで思い浮かぶのは、石丸伸二候補が大躍進した東京都知事選以後の政治ニュースをほぼ独占してきた斎藤元彦・兵庫県知事もまた、選挙によって有権者に選ばれたということです。兵庫県議会満場一致で不信任決議が可決され、9月30日に失職しましたが、彼はこれまでの県政運営に何の反省もないのか、再度兵庫県知事選(10月31日告示、11月17日投開票)に立候補するようです。
知事のさまざまな公私混同やパワーハラスメントを告発した県幹部が「自殺」し、他にも自殺職員が出ているらしいことを考えると、彼が再出馬する神経そのものを疑うし、どこの政党の支持もなく再出馬しても、当選できるとはとても思えないけれど‣‣‣(兵庫県の市民団体は10月9日、プロ野球の阪神・オリックス優勝パレードへの協賛金の見返りに、金融機関の補助金を増額して兵庫県に損害を与えたとして、斎藤前知事と片山前副知事を背任の疑いで兵庫県警に刑事告発している)。
A 泉房穂・元明石市長が言う通り、彼はモンスターですね。おそらくこれまでの人生は順風満帆で、上から頭を押さえつけられたことはないのでしょう。たまたま出先で県議会百条委員会の中継を見ましたが、まったくの無表情、およそ人間らしい感情が感じられませんでした。
こういう非常識な人間が首長になることに現代の政治のいびつさを感じます。自民党と維新が支援しており、両党にも責任はあるでしょうが、要は有権者もまた斎藤知事を選んだということですね。
B 支持政党なしで立候補して、たった一人で街頭演説をし、そのときになってやっと支持者がほとんどいないことに気づくんでしょうか。その衝撃は大きいようにも思いますね。
彼もまた選挙で選ばれたということを、兵庫県民だけでなく、すべての有権者がよく考え、今度の衆院選挙では、一票の重みをよくよく噛みしめるべきだと思います(文中敬称略)。
『山本太郎が日本を救う』シリーズ3巻の電子本が出来ました!
山本太郎が2019年にたった一人でれいわ新選組を立ち上げて以来、山本太郎とれいわ新選組が「日本を変えよう」と奮闘してきた記録(その意気込み、主張、国会内外の行動など)をつぶさにフォロー、あわせて同時代の政治状況ウオッチングを続けてきた『山本太郎が日本を救う』シリーズ(既刊3巻、サイバーリテラシー研究所刊、各1300円)の電子本が完成しました。定価600円と紙の書籍に比べると格安です。山本太郎ってどういう人? とお考えの人や、れいわ新選組の躍進を望んでおられる方々に、この場を借りてご案内させていただきます(書籍も含め、アマゾンで購入できます)。
どうぞご一読ください。