「紙の本について;読書アンケート」『みすず』n.689,p.15(2020)
(1)エマニュエル・ヴィンターニッツ(編)、金沢正剛訳『音楽家レオナルド・ダ・ヴィンチ』、音楽の友社 (1985)
論文集。だが挿入図面がきわめて多い。音楽家の肖像、解剖スケッチ、自動楽器の図面など。これならば、私のような老齢の非専門家であっても、「本を眺めつつ」楽しめる。これに気付くことがなければ、私は生涯を通じて本書にアクセスすることはなかったろう。(この楽しみを示唆してくれたのは知人の音楽学者であった。)
(2)MARK JONES(ed)“Fake:The Art of Deciption”, British museum Pubication “ (1990)
ヴィンターニッツの編著の「本を眺める」という面白味をさらに深めるためには、展覧会のカタログがあろう。そうしたカタログのなかから手持ちの1冊を選ぶとすればこの冊子になる。
ただし、重量というものがある。前者のそれは1.4㎏、後者のそれは1.2㎏。これは年寄にとってはつらい。冊子体が紙の製品であるかぎり、これは諦めなければなるまい。