●「スマホを持たせてもいい」年齢は高校1年が圧倒的(2018年1月発表)

[グラフ] 子どもにスマートフォンを持たせても良いと思う理由(MMD研究所調べ)

MMD研究所「親と高校生のスマートフォン利用に関する意識調査」
調査日:2018年1月12~18日
調査対象数:親の有効回答1003人、高校生の有効回答1040人
詳細データ:https://mmdlabo.jp/investigation/detail_1691.html

 モバイルに特化した調査機関であるMMD研究所は2018年1月に「中高生の子供にまだ携帯電話を持たせていない親」と「スマートフォン(以下、スマホ)を所有している高校生」を対象に、スマホ利用に関する意識調査を実施した。

 親に対する調査では、「いつ頃からスマホを持たせてよいか」という質問に対して、「高校1年生から」が圧倒的に多く、66.9%を占めた。中学3年生以下は1割弱、「絶対に持たせない」親も1割程度いることが分かった。
 これに対して「子供がスマホを持ちたいと言った時期」は中学1年生が21.1%と最も多い。親と子の考えにギャップがある。
 ただし、「子供にスマホを持たせてもいいと思う理由」を親に聞いたところ、「クラブ活動など学校の活動で遅く帰るようになるから」が最も多く、36.2%、次いで「子供が学校に入学するから」34.4%、「周りの子供がスマホを持つようになったため」27.4%と、必ずしも高校生になって一定の分別がつくようになったからという理由ではない。最近では塾通いなどで中学生でも帰りが遅くなる傾向もあり、もし周囲の友達たちがスマホを持つようになれば、親が「持たせてもいい」と思う年齢は中学生以下に低年齢化することは充分考えられる。
 その一方で、「子供と比べてのスマホの使いこなし度」は、「どちらとも言えない」「あまり使いこなせていない」「まったく使いこなせていない」を足すと、65.8%になる。スマホの使い方を親があまり分からないせいでもあるのだろう、高校生に対する調査で「親との間でスマホを利用する上でのルールがない」とする回答は67.2%にも達した。

 こうした状態が続く中で、スマホを持たせる時期が低年齢化すれば、子供達を巡るトラブルが増えるだろう。
 高校生に「日常生活を送る上でのスマホの必要度」を聞いたところ、必要度10段階中、最も高い10を選んだ人が31.7%と一番多かった。8以上では61.4%に達する。ここまで普及したスマホを取り上げることはもはや現実的ではなく、危険やトラブルを回避するリテラシーを身につけることが重要になるだろう。

●乳幼児の約2割がスマホを毎日見ている(2017年10月発表)

ベネッセホールディングス「第2回 乳幼児の親子のメディア活用調査」
調査日:2017年3月
調査対象数:3400名
詳細データ:http://berd.benesse.jp/up_images/publicity/press_release20171016_2media.pdf

 ベネッセホールディングスの社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所は、2017年3月に首都圏在住の0歳6ヶ月~6歳までの乳幼児を持つ母親3400人を対象に「乳幼児の親子のメディア活用調査」を行った。

 その結果、乳幼児の約2割がスマートフォン(以下、スマホ)に「ほとんど毎日」接していることが分かった。年齢別に見ても驚くことに、0歳後半の乳児でも2割がほぼ毎日使っている。本調査の1回目が実施された2013年と比較すると、16.5%増加している。また、1歳児では24.4%、2歳児は最も多く25.9%に達している。
 どんな場面でスマホを使わせているのかを見ると、最も多いのが「外出先での待ち時間」で33.7%、次いで「子どもが使いたがるとき」が29.7%、「子どもがさわぐとき」が23.5%となっている。2013年と比較して増えているのが「子どもがさわぐとき」で6.5%増、「親が家事で手をはなせないとき」は7.7%から15.2%へと7.5%増えた。
 スマホ利用の低年齢化が進んでいることがよく分かるが、その一方で、スマホに接している時間は15分未満が約7割を占める。1~4時間以上は12.8%だ。4時間以上が1%程度いるとは言え、多くの母親がある程度制限している様子が見て取れる。
 「目や健康に悪い」「夢中になりすぎる」などデメリットについても7~8割の母親が懸念を示している。また、外遊びやおもちゃで遊ぶ時間などとのバランスも4年前とそれほど変わってはいない。

 調査企画・分析メンバーである汐見稔幸氏(白梅学園大学学長、東京大学名誉教授)は、「乳幼児のメディア利用に対して社会の方が過度な心配をしなければならない、という結果ではありませんでした」と語っている。また、汐見氏は今後のメディアの可能性に触れ、こう述べている。
 「電子絵本などが普及し、3D映画のように立体的な映像を手軽に楽しめるようなツールが出てくることも予想されます。(中略)その活用の仕方を家庭が模索することによって、各家庭でより豊かな親子関係と親子の会話を楽しむ時間が増えることを期待しています」
 手前味噌になるが、サイバーリテラシー研究所でも、親子で読みながらサイバーリテラシーを学べる「サイバー絵本」を掲載しているので、よろしければご一読ください。

 

●学校での保護者へのネット教育が重要(2016年2月発表)

内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査」
調査期間:2015年11月7日~12月6日
有効回答数:3442件
詳細データ:http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/chousa/h27/net-jittai/pdf/sokuhou.pdf

 内閣府では満10歳から満17歳までの青少年について、インターネットの利用環境を調査した。

 その結果、青少年の80%がインターネットを利用、そのうち利用機器は46%がスマホ、23%がゲーム機、20%がノートパソコン、18%がタブレットとなった。利用内容は、高校生ではコミュニケーションが90%、音楽試聴が82%、動画視聴が82%。中学生ではゲームが71%、動画視聴が71%、コミュニケーションが63%となった。
 この調査で面白いのは、保護者の意識調査だ。インターネットを安全・安心に使うための注意点の認知は、「出会い系や著作権等の違法情報の問題」については83%と高いが、「過度の利用の問題」59%、「電子商取引の問題」63%、「コミュニケーションの問題」71%などは低い傾向にある。安全対策では「フィルタリング」が41%程度いるが、「利用時間帯のルールを決めている」は22%ほどに過ぎない。「インターネットに関する啓発や学習の経験」は「学校配布の資料」が61%、「学校の保護者会などでの説明」が58%と、学校経由の情報入手が大半だ。これを見る限り、学校での保護者に対するネット教育が今後、重要と思われる。

 

●1歳児の4割、3歳児の6割が毎日スマホを利用(2017年2月発表)

子どもたちのインターネット利用について考える研究会「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」
調査期間:2016年10月21日~2016年10月24日
有効回答数:1149件
サマリー: https://www.child-safenet.jp/activity/2657/
詳細データ: https://www.child-safenet.jp/activity/2664/

 お茶の水女子大学の坂元章教授を座長とした子どもたちのインターネット利用について考える研究会では、2016年10月に「未就学児の生活習慣とインターネット利用に関する保護者意識調査」を実施した。

 その内容は、かなり早い速度で幼少の子どもたちの間にスマホやタブレットおよびインターネットが浸透しつつあることを示している。スマホなどの利用率は0歳で22%、1歳で42%、2歳で56%、3歳で60%に達している。2015年3月に総務省が同様の調査を行っているが、0歳児で10ポイント、1歳児で25ポイント、2歳児でも25ポイント高くなり、1年半で低年齢化が加速している。
 しかも、利用頻度は0~2歳児で「毎日必ず」「ほぼ毎日」を足すと、56%、3~6歳児で49%になる。乳幼児の半数が毎日スマホなどに接している状況はさらに進むだろう。使わせる理由で一番多いのが「子供の機嫌が良くなる」54%と、保護者のスマホなどに対する認識の甘さが見て取れる。機器に備え付けてある保護者管理機能(一部の機能を制限する仕組み)についても、「知らなかった」25%、「知っているが、使ってはいない」59%と、8割以上が放置状態だ。子供の見るコンテンツの一番多くが「動画を見る」44%であることを考えると、思わぬ悪影響が出る可能性が高い。