Online塾DOORSへの招待

ネットのオアシスを求めて

 Online塾DOORSは2023年5月で3周年を迎えました。2020年春に朝日新聞OBで始めた「Zoom勉強会」が発端で、オンライン・ミーティングツール、Zoomを使ったコミュニケーション塾です。当初はOnlineシニア塾と名乗っていましたが、2周年目の2022年5月にOnline塾DOORS(略称OnDOORS)に改めました。これまで60回近い授業(年平均20回)を続ける中で、授業内容も参加者も当初のシニア本位の枠を離れて、よりグローバル、より多世代交流的なものに発展してきました。国境を越え、世代を超えた<Online塾DOORS>です(なお、本ウエブの古い活動履歴などは、これまでのOnlineシニア塾をそのまま使っています。ご了承ください)。

これまでの講座は本ウェブ上で講座別に梗概を紹介しています。

講座<若者に学ぶグローバル人生>
講座<気になることを聞く>
講座<とっておきの話>
講座<アジアのIT企業パイオニアたちに聞く>
講座<よりよいIT社会をめざして>
講座<超高齢社会を生きる>
講座<女性が拓いたネット新時代>

<若者に学ぶグローバル人生>海外から日本にやってきた外国人留学生や逆に海外で活躍している日本人の若者から話を聞いています。
<気になることを聞く>メンバーが日ごろから気にしている話題、あるいは最近のニュースなどに関してその道の専門家や当事者、研究者などから話を聞いています。アメリカ最新報告、ミャンマー問題を考える、レオナルド・ダ・ヴィンチ天才の証明などの授業を行っています。
<とっておきの話>メンバーが取り組んでいるか、あるいは取り組んできたテーマや趣味などについて話し合い、メンバー相互の交流を促進しようというものです。
<アジアのIT企業パイオニアたちに聞く>躍進するアジアの国々の最新事情を、IT起業家などに聞いています。
<よりよいIT社会をめざして>矢野が提唱するサイバーリテラシーを通奏低音に、このところ目覚ましく発展するメタバース、ChatGPTなどの最新情報をメンバーの<情報通信講釈師>唐澤豊さんのリーダーシップのもとに取り上げ、その意味と今後への影響などを語り合っています。
<超高齢社会を生きる>超高齢社会日本の現状を考えたり、各分野で活躍中の高齢者の話を聞いたりしています。
<女性が拓いたネット新時代>ネット新時代を築いてきた女性パイオニアに話を聞いています。

インターネット黎明期の雑誌『DOORS』

 2023年5月現在、新聞社OB、ライター、編集者、IT起業家、日本語教育従事者、大学関係者、主婦など30人以上が参加、在日50年の米国人修道女やフィリピンで活躍する起業家もいます。
 これから世界に大きく羽ばたこうとしている若者、すでに社会の一線を離れ、組織との縁が薄れたとは言うものの、心理学者、ユングが言う「人生の午後」を有意義に過ごしたいと思っている人、伊能忠敬の「一身二生」を生きようと考えている人、さらに言えば、藤沢周平の描く三屋清左衛門のように「日残リテ昏ルルニ未ダ遠シ」を実感している人々などなど、さまざまな境遇の人びとがお互いを隔てている扉を開け放ち、広い世界に飛翔できるOnline塾DOORSであってほしいと願っています。

 私はインターネット黎明期(1995年)にその情報誌『DOORS』を創刊し、紙のメディアである雑誌、電子メディアとしてのCD-ROM、オンライン雑誌としての「OPENDOORS」の三位一体メディアをめざしたことがありました(OPENDOORSはマスコミ最初のオンライン雑誌でした)。創刊2周年を前にメンバーで話し合った結果、DOORSの新装復活となった次第です。インターネットがいよいよ私たちの生活に浸透するようになった時代のOnline塾DOORSに、多くの人が参加してくださることを期待しています。

半ば開き、半ば閉じたオアシス

 パーソナルメディアの雄、SNSも「SNS疲れ」ではありませんが、一時の勢いは衰え、新たなメディアの曲がり角だとも言われています。かつてセカンドライフとして話題になったネット上のバーチャル空間でのビジネスがメタバースとして脚光を浴びてもいます。最近は対話型AIによるChatGPTが大変な話題です。

 これからは、社会に常にむき出しになった場ではなく、インターネットを使っているのだが、完全には開かれていない半開半閉の「新たなトポス」が見直されるのではないでしょうか。

 この種の場は、〝古くは〟パソコン通信、最近でもメーリングリスト(ML)などがあったわけですが、Zoomもまた現実世界の生き方をより豊かなものにするための場として機能することが可能だと思います。

 朝日新聞の先輩でもある名文記者、深代惇郎を扱った後藤正治『天人』に、深代の青春日記にふれた箇所で、(彼は)「ドイツにおける時代状況を見詰め、マスコミの果たした役割を考察している。ナチズムがマスコミを支配しつつも数人の集まりを警戒したことを取り上げ、小さなコミュニケーションの意義を強調している。学生らしいというべきか、『それは小さなレジスタンスであるが、最も大切なレジスタンスである』と生硬な言葉で論考を締め括っている」とあります。深代流に言えば、こういう市井の小さなコミュニケーションの場を広げることに<Online塾DOORS>の意義もあると考えています。

<Online塾DOORSの概要>

・メンバー資格
 ウエブ<サイバー燈台>上の招待文を読んで参加を希望する人は、事務局(info@cyber-literacy.com)か矢野まで申し込めば、簡単なプロフィルを提出していただいたうえで、基本的に参加を許可する。日本語を主な言語として使用しているが、年齢、性別、国籍の制限はない。会費は無料である。スピーカー(講師)を務めてくれた方は、自動的にメンバー資格を得る。

・メンバー心得
 Online塾DOORSを通して活動の幅を広げるとともに、何らかの形で社会貢献することを考える。完全なボランティア活動なので、スピーカー発掘、参加者の拡大、新たな授業計画など、率先して会の運営に協力する。入会と同時にslackにも参加し、会員間のコミュニケーションに役立ててほしい。若いスピーカーには新風を、シニアの方には昔とった杵柄で若者に助言を与えるなど、塾に積極的に貢献することを期待している。

・ゲスト
 ゲストとして、毎回参加するのではなく、興味のある会だけ参加することも可能である。また時々開催する特別講座は、大学の「オープンキャンパス」のように広く参加者を募っているので、まずゲストとして参加していただくのもいいだろう。参加希望者は名前とURLを添えて事務局に申し込めば、当該授業への参加が許可される。

・サイバー燈台
 Online塾DOORSの活動はウエブ<サイバー燈台>のOnline塾DOORS報告で逐一報告される。それぞれの授業においてはスピーカー紹介、話の概要、エピソード、感想、みんなに知らせておいた方がいい知識などを適宜編集して公開、一般の人が当塾に興味を持ってくれるように心がけている。メンバーの寄稿も歓迎している。

2023年5月 Online塾DOORS・矢野直明