新サイバー閑話(109)<折々メール閑話>㊿

菜の花咲く春なのに、まともな政治はまだ来ない

B 去年の今ごろ、本コラム㉕<訪れた春を愛でつつ、つれづれ閑話>で伊勢の梅林の写真を紹介していただきましたが、今年は菜の花と富士山でどうですか。2月12日神奈川県二宮町の吾妻公園での写真です。富士には月見草より菜の花ですよ(^o^)。
 春は花  夏ほとゝぎす 秋は月 冬雪さえて 冷しかりけり(道元禅師)

A だんだん陽気がよくなってきましたが、日本の政治は相変わらずの混乱ぶりですね。
 二階俊博元自民党幹事長が政治資金収支報告書修正で示した3000万円の書籍代には開いた口がふさがらないですね。2020年から22年の3年間で3000万円分の本を買ったというんですね。自著や知り合いの本買い取りなどが申告されているけれど、ふざけるなと言いたい。それがもし事実だとして、自分や自民党にヨイショする単行本や雑誌を大量に買っているとすると、これはまったく宣伝工作ですね。官房機密費なども自民党支援や右翼的な書物を大量購入し、結局は自民党支持の温床づくりに使われていると、十分想像できますね。一種の世論操作です。
 一方で能登地震の復興はいっこうに進んでいません。自民党政治家がポケットマネーからポンと3000万円を寄付したという話も聞かないですね。

B 自民党の「裏金アンケート」結果を見ましたか。東京新聞(2.14付)に「アンケートで不記載が確認された自民党議員」とその訂正額が載っていますが、明らかにされただけでも2018年から2022年の間で85人計5.8億円の不記載があった。何に使ったかわからないこれだけの金が、裏金として政治資金収支報告書に記載されていなかった。今回それを修正したからと言って、それで話がおしまいというのもおかしい。

A これらの金は無税です。折しも確定申告が始まっていますが、我々の税金に関しては厳密に取り立て、政治家はノンズロというのはあまりにひどい。岸田内閣の支持率はさらに低下しているようだけれど、それにしても日本人はおとなしい。こんな政治など覆すべきでは。
 岸田首相の国会答弁も腹立たしい。言葉では「率先して改善に立ち向かう」と言うけれど、彼の頭の中はこの裏金事件を自分の政権延命に利用したいという思惑だけのようです。それを追及する野党も、メディアもまことに手ぬるい。

B ここでもれいわ新選組だけが突出しています。「つまりは何か」という動画で山本太郎が言っていることはまことに正論だと思います。

 国会の中で(れいわが)嫌われる理由は何か? れいわがなければ、自分たちがこれまで仲良くやってきたものを外に漏らされることなかったんですよ。うまくやってたことのその内容を外にばらされるってのが一番嫌なんです。だからいつでも潰すタイミングをねらわれてるんです。懲罰とか除籍とか、与党だけじゃなくて、野党もですよ。‣‣‣。政権交代をしていくためには、まず野党を強くしないとダメなんです。今の野党は与党からとってみれば脅威でも何でもないんです。どんなことがあったとしても、自分たち選挙で勝つと思っているから、この野党を強くしていくためには、2つのものが必要なんですよ。1つは国会の中で徹底的に対峙して戦う野党です。闘ったふりではなく。そしてもう1つは徹底的にこの国の経済を立て直すための太い経済政策なんです。この2つ、野党の中に注入していくためには、私たちがまず強くなる必要がある。もう変えるしかないんですよ。こんな世の中。冗談じゃない、やってられない。

A 主として企業が政治パーティ券を購入したお金が裏金としてよくわからない使途に使われているわけですね。企業側からみると、いずれにしろ献金した議員は自分たち企業に有利な政策を遂行してくれるから、それでいいということかも知れないけれど、どうですか。
 日本はとうとうGDPでドイツに抜かれて世界4位になったという報道がありましたが、人口を考えると、一人当たりGDPではもっと低いでしょうね。自民党に献金して税金を負けてもらおうというような姑息な考えが、結果的に、企業の創意工夫へのエネルギーを喪失させ、世界における日本企業衰退の原因になったんじゃないですか。日本経済を再生するためにも、企業献金をやめるべきでしょう。

B そうですね。もっとも森永卓郎『ザイム真理教』(三五館新社)は、日本経済30年の不振は「急激な増税と社会保険料アップで一般国民の手取り収入が減ってしまったから」だと書いています。財務省は、とにかく財政正常化を図りたい。そのためには借金を減らすべきで、だからなるべく国債を発行したくないというのに尽きる。政府の方針に逆らわず、大企業に不利な増税もせずに財政均衡化を図るためには、結局、抵抗の少ない庶民から税金を巻き上げるしかないと考えるわけですね。そのためには「消費税はすべて社会保障費に回す」というような嘘を平気でつくし、年々膨大になる軍事費増額には当然、抵抗しません。
 彼によれば、財務省は二重の誤りをおかしてきた。第1は歳出の範囲内に支出をおさめるというあやまった財政均衡論に立っていること、第2に支出増を所与のものと考えるから、それらの出費を補うために抵抗の少ない弱者から税金を取り立てようとする。著者はこの財務省の均衡政策を信じている国会議員や一部の経済学者、多くの国民を「ザイム真理教」の信者だと弾劾してます。ザイム真理教の教義は「国民の命より財政」というのに尽きるようです。前々回ふれたように、野党第一党の立憲民主党はザイム真理教の信者になっている。積極財政を説くれいわはここでも余計者扱いです。
 なぜ日本の政治はかくまで堕落したか。自民党ばかりでなく、平成の政治家そのものが昭和に比べて著しく劣化したと思いますね。政治家ばかりでなく、経営者も、そしてメディアも。
 我々世代は、一応、戦後民主主義教育で育てられ、かなりの人が平和、民主主義、主権在民などの理念を当たり前のように考えてきたけれど、もちろんそうでなかった人もいて、どうも平成の中頃(2000年代)から時代の空気が変ってきた。世界的にはポストモダンの風潮とも関係すると思うけれど、まっとうな生き方が「暗い」とか「ダサい」とか受け取られるようになってきた。保阪正康『平成史』(平凡社新書)は、これを「戦後の終わり」だと言っているけれど、より正確に言えば、「戦後精神」の終わりですね。
 1994年(平成6年)に成立した小選挙区比例代表並立制の選挙制度改革も影響しているようだが、その動きを決定的にしたのが戦後生まれの首相による安倍政権だと思います。保阪さんは「つまり〈戦後〉という語が死滅していくのをもっとも象徴しているのが、第1次および第2次安倍政権だった」と述べ、さらに「政治の劣化は、安倍晋三首相の発言や答弁を見ていくと、もっと明確になってくる。「私(首相)は立法府の長である」と言ってみたり(正しくは行政府の長)、「云々」を「でんでん」と読んだり、冗談でも言っているのではないかという状態だ。この首相は、人と議論を交わすのが不得手らしく、すぐにムキになったり、自己陶酔したり、はては自分の都合のいいように答えたり、国会での議論をほとんど死滅状態にしたといっていいであろう。劣化の根本原因は首相の態度にあるということになる」とも述べています。
 第2次安倍政権は2012年(平成24年)成立だから、平成末期にあたるけれど、2020年(令和2年)まで続き、この間に「戦後精神」崩壊の最終仕上げをしたと考えられますね。安倍元首相の毒を我々は「アベノウィルス」と呼んできたわけだが(「日本を蝕んでいたアベノウイルス」、『山本太郎が日本を救う』所収、アマゾンで販売中)、現在露呈している裏金問題は、このアベノウィルスのエキスでもあるでしょう。

A 日本政治を徹底的にダメにした自民党安倍派は、つい最近まで最大の派閥を誇り、まさに「裏金」政治をしてきたわけです。アベノミクスについて安倍首相自身が「見かけだけよければいい(やってる感だけ出せばいい)」という態度だったわけで、その間に、日本経済はいよいよ衰退に向かったわけですね。いま安倍派は解体、岸田派も解体を宣言して、これまでの派閥は表面的には消えるようだけれど(麻生派などは存続)、目立つのは、このような政局がらみの話ばかりで、企業の政治献金廃止とか政治資金規正法改正とかいう抜本的な論議はいっこうに進んでいません。
 なんとなく改善するようなふりをしてその場をやり過ごそうとしている政治を野党も許しているわけで、やはりここは「嫌われ者」れいわの出番だと思います。
 次期衆院選にれいわ新選組の高井たかし幹事長が立候補するようです。まだ選挙区は公表されていないけれど。次期衆院選はほんとうに正念場です。れいわに大いに頑張ってもらいたいですね。
 れいわ三重サポーターズも燃えていて、ポス活(ポスター張り)をグループで展開しています。先日、二見町での活動に参加し、9枚張れてまずまずでした。ところで、れいわの仲間が教えてくれた初音ミク歌うところの「政権交代の歌」をぜひ聞いてください。これが全国の商店街でスピーカーから流れるといいですね!

 

新サイバー閑話(108)<折々メール閑話>㊾

#大石あき子、橋下徹に完全勝利したってよ

 B れいわ新選組の大石あき子衆院議員が2021年12月に配信された「日刊ゲンダイ」のインタビューで、元大阪府知事の橋下徹氏に対して、「気に入らない記者は袋だたき」にし「飴と鞭でマスコミを服従させた」などと批判したことに対し、橋下氏が大石さんと「日刊ゲンダイ」を名誉棄損だとして慰謝料300万円の損害賠償を求めた訴訟で、大阪地裁(小川嘉基裁判長)は1月31日、「発言の重要な部分は真実で、論評の範囲を逸脱していない」と、橋下氏側の請求を棄却しました。大石あき子の完全勝利と言っていいようです。
 大阪の記者会見に東京の議員会館からZoomで参加した大石さんは「橋下さんが府知事時代にやってきた、メディアを使って勢力を拡大するやり方が今度の裁判によって明らかになったのだと理解している。橋下さんは判決を真摯に受け止めてほしい」と述べました。

A メディアを権力的、弾圧的な手法で支配しようとする橋下流のやり方が「ほぼ真実」だと認められたわけで、訴えた橋下氏側にすれば、かなりの痛手だと思いますね。

B 都合のいいことを書くメディアを優遇、逆に批判的なメディアには不利益をもたらす橋下流のメディア選別〝喧嘩〟手法は、実は大阪で維新が躍進する背景でもあったわけですね。この訴訟は橋下氏が名誉を棄損されたとして大石さんを訴えたものですが、大石さんが批判した内容がほぼ真実と認められたことは、報道の自由という観点からしても、意味のあることだと思います。大石さんが訴えられた当初、ツイッターなどで「どこかでこれは〝おいしい〟訴訟だと思うところがある」と言っていた予感が当たったとも言えます。もっとも橋下氏側は控訴するようです。
 まだ判決理由を読んでいないけれど、弁護団の説明を聞いた範囲では、近ごろめずらしいすっきりした判決だったようです。橋下流のメディア操作については思い当たるところがあります。これは古巣の朝日新聞がからむ事例ですが、2012年に『週刊朝日』が「ハシシタ・奴(やっこ)の本性」という連載(筆者はフリージャーナリストの佐野眞一)をしましたが、橋下氏の出自が明らかにされたことで、当時の橋下大阪市長がツイッターで批判したほか、定例記者会見で朝日新聞を批判、朝日新聞と朝日放送の取材を拒否したんですね。記事にはいくつかの瑕疵があり、後に『週刊朝日』側と橋下氏側で和解が成立していますが、突然記者会見をして、当該社の取材を拒否するという強権的なやり方には疑問が出されました。結局、この連載は打ち切りになっています。
 半藤一利・保阪正康『そして、メディアは日本を戦争に導いた』(東洋経済新報社、2013年)にこの問題に触れた個所があり、「新手の劇場型言論操作」として、以下のように話しています。

保阪 この問題では、『週刊朝日』で書いた佐野眞一君にも甘いところがあると僕は思います。それでも、橋下氏の抗議の仕方自体が暴力的だなと感じる。発想そのものに暴力があるんですね。『週刊文春』や『週刊新潮』だって、あれと似たような記事を書いているのに、橋下氏側からは何も言ってこなかったと聞きます。そこに、彼の計算があるんでしょうか。
半藤 狙ってやったんですかね。
保阪 橋下問題を通して、何かが崩れて、何かの罪が開いたという感じがします。
半藤 あえて言ってしまえば、解決を求める抗議ではなく、 一方的な相手を傷めつける暴力そのものに近づいてしまったなと感じます。

A 大阪では橋下氏を中心とする維新勢が飛躍的に勢力を伸ばしましたが、そこには在版のテレビ局を巻き込んだメディア戦略があったわけで、これを機会にメディアも主体性を回復すべきでは。

B ここで<お詫びと訂正>です。<折々メール閑話>㉕「訪れた春を愛でつつ、つれづれ閑話」(『みんなで実現 れいわの希望』所収、アマゾンで販売中)で書いた半藤一利の「40年史観」が本書に図示されていて、それによると、1945年から51年までの占領期間が「空白の6年」とされています。したがって本コラムでは1985、および2025年が40年の節目だとしていますが、実際は、1992、2032年になるようです。訂正して、その表を掲示しておきます。

A 来るべき日本の底が2032年に伸びたわけですが、2025年の方が信憑性がありそうですね(^o^)。いや、2032年に向けてじりじりと崩壊していくのかな。

B 半藤さんは自説に対して、「当てにならない説ですけれど、ただ、現在がかなりおかしくなりつつある時期にあることは確かです」と言っています。11年前の話です。

A 日本はいよいよ混とんとしてきたとは言えそうですね。自民党の裏金問題は大山鳴動して鼠一匹、検察の捜査は尻すぼみで、自民党や岸田首相の対応はまったくのおざなりです。岸田首相の関心は、裏金問題の解決や能登地震の対策よりも自分の首相在任期間をいかに延ばすかを念頭に置いた政局一辺倒のようです。これじゃ、国は亡びますね。
 1月24日に開かれた参院予算委員会で山本太郎代表が岸田政権下で起こった自然災害11件を上げて、それらの被害者が現在苦しい状況に置かれたままであることを具体的に説明、口先で「政府全体として災害対策に万全を期す」と言うだけで、実際は自治体に丸投げしている国の姿勢を厳しく追及しました。
 れいわにあてがわれた、たった6分の質問でしたが、この動画は全国民に見てほしいですね。どちらが総理大臣に相応しいかは一目瞭然です。キシダという人物は人間としてのバッグボーンがまるでない。被災者にまったく無関心、無脳無策脳天気です。その裏で憲法違反の軍拡、武器輸出をスルスルと決定、日本を戦争する国にしてまった。唖然というより慄然とします。
 そこで頑張っているのは、やはりれいわ新選組でしょう。山本太郎代表はいち早く能登入りし、1月17日には声明「石川県能登半島地震の復興にかかるれいわビジョン」を発表しています。

 れいわビジョンとは、 甚大な被害をもたらした「能登半島を完全復興」させ、どの地域にどんな災害がおきても、必ず国の責任で元の生活水準を取り戻すことを国民に示す約束である。誰もが住み慣れた地域で、なじみのコミュニティとともに幸福な生活を希求できるよう、憲法上の国の責務を履行する政策を能登から実現する。復興、と言葉だけ踊り、実際は将来的に過疎地域として放棄する様な取り組みは許されない。この災害復興は、日本全国あらゆる地域での国民の生活を守る国の姿勢が問われている。

 能登半島を災害大国日本に本気で取り組むモデルケースとし、具体的な提言をしています。詳しくは声明をご覧いただきたいと思いますが、その5には「不要不急な事業(大阪万博、辺野古埋め立て工事)は中止し、被災地に社会的リソースを回すとともに、復興を理由とした増税をおこなわない」とあります。
 まことに格調高い。これこそが政治ではないでしょうか。一人でも多くの人がれいわへの認識を高め、応援してほしいと切に思います。