矢 野 | |
僕の生徒にも聞いてもらおう。中嶋さん、何か質問はありませんか。 |
中 嶋 | | 一番お聞きしたかったのがキーワードやカテゴリー分類のことです。探したいことがあって、いろいろ打ち込んでも「一致しませんでした」というメッセージが出てくるばかりで、結局、面倒くさくなってやめちゃうことがすごく多くて……。どういうふうに何を基準にして打ち込めばいいのでしょうか。 |
二 木 | | カテゴリー検索とキーワード検索の兼ね合いがあると思いますが、一つはバルーン(データ空間)を絞ったほうが早いはずなんですが、ごく原則ですけれど。例えばYahooのように、カテゴリーを分けている場合がありますね。社会とあって、そこに福祉とあって、例えばそこにもっと違う歴史があったり、すごく様々なものがサブカテゴリーとして入っている。ですから、ツリーをひっくり返したように、様々なバルーンがいくつもあるわけです。
カテゴリーはどう使うのがいいかというと、ジャンルがはっきりわかっている場合は、段階を下に降りる。そうして、小さいバルーンの中で探す。そのほうが早いというやり方が一つあるわけですね。小さいサブカテゴリーのバルーンの中になければ、一つ階層を上げる。
Yahooで最初に出て来る検索窓にいきなり仕込んでしまう方が多いと思いますが、あれはすべてのカテゴリーを入れたフルバルーンの中から探してくるわけです。ここで探せないと、提携しているGoogleのほうへキーワードを投げて、検索した結果が返ってきます。ですから、そういうサイトのデータ構造をまず自分の頭の中で思い描くと、この辺にありそうだとか、この分野になければたぶんこっちの分野だろうとか、バルーンを分けることが自分の頭の中でできます。そうすると割と合理的です。早い。具体的にどういうキーワードでヒットしなかったりするんですか? |
中 嶋 | | ダイビングについて調べたいときがあって、「ダイビング」でやったら出て来なくて、もっと詳しく「スキューバダイビング」って入れたらやっと出て来たという感じだったので……。 |
二 木 | | どのキーワードで分類しているかというのは、検索サイトによっても癖があるんですね。逆に自分でサイトをつくるときには、どのキーワードにしておけば最もヒットしやすいか、一般的な分類を考えたほうが合理的になってくると思います。「スキューバ」の場合でも「スキューバ」と打ち込んで出てくるか、「スクーバ」か、そういう表記のばらつきははあらかじめ考えなくてはいけません。何通りか、私もよく試します。
例えばダイビングだと、All About Japanではどういうふうに分類していらっしゃいますか? |
粟飯原 | | ダイビングというガイドがいたと思います。そのガイドがダイビングの情報を、初心者向きとか、実際に行く先を探している方向きとか、いろいろ分類をして、このホームページを見るといいですよ、ということを整理してお知らせしていると思います。All About Japanというサイトにたどり着かれるまでが大変なのかもしれないですよね(笑)。 |
二 木 | | あとは、いくつかのキーワードを組み合わせていくことだと思うんですが、たぶんダイビングとやって出て来なかったというよりは、欲しいものが出て来なかったのでは? おそらく多すぎたんですよね。その場合は、一番ベーシックなやり方としては、キーワードを組み合わせていく。私はGoogleを使うとき、わざわざキャッシュのほうで引くことが多いんですよ。
キャッシュというのは、Googleが2週間前に検索してきた世界の30億ぐらいのバルーンを、別のデータ・バルーンとして持っている部分があるんですね。Googleで引いてヒットをしたところをクリックすると、そのサイトのいまの状態のところに行きますが、キャッシュという小さい、アンダーラインされている部分をクリックすると、2週間前のデータに行くんです。このキャッシュは、どうしていいかといいますと、キーワードで引いたものが、ハイライトされて出てくる。だから、長い文献を探しているときは、私は探すのが面倒くさいので、あらかじめキャッシュのほうで引いてしまう。三つのキーワードを使った場合は、3色分けて出て来るんですね。だから、それぞれのことがどこで出て来るかというのを探しやすいので、怠け者の裏ツールです。 |
吉 原 | | 私はわからずにキャッシュを愛用していました。 |
関 根 | | 二木さんに本を書いてほしいな。 |
二 木 | | もう散々書いたんですよ。インターネットマガジンで検索をずっと連載していたので、それはまだサイトに出ています。
<有名サイトがますます有名になる構造>
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矢 野 | | だれか自主的に質問する方はいませんか(笑)。 |
粟飯原 | | 関根さんにお伺いしたいのですが、自分の天職に出会うまでにすごく試行錯誤されたという話がありました。私はミーハーなサイトをいろいろ立ち上げているんですけど、一生の仕事として何をしたらいいんだろうかとか、自分はどういう部分が本当は合っているんだろうとか、すごく考えるときがあるんですよ。どういうふうに試行錯誤されて、そこでネットがどういう価値をもっていたのかといったことをすごくお伺いしたかったんですけど。 |
関 根 | | それは、私の本を読んでください(笑)。前半は本当に試行錯誤のかたまりでした。よく生きていたねって言われるぐらい、落ち込みを繰り返していたという話なんですね。 なぜ天職が見つかったかというのは、よくわからないんですよ。でも、やっぱり出会いでしょうね。出会い系の話じゃないですよ(笑)。人ってやっぱりだれかに出会って、そのいろんな人たちが「君の仕事はこれなんだよ」ということを、きっとメッセージを送っていたんだと思うんですよ。途中まではそれに気がつかなかったんだけど、ある日、ふっと「そうか、これをやればいいんだ」というのがわかっちゃうときがあるんです。 |
粟飯原 | | ある日わかったというのは、どういう感じでわかられたんですか? |
関 根 | | うーん……いろいろ。啓示と言ったら話が大きくなっちゃいますけど、メッセージがだんだん読めてきた瞬間というのがあるんですよ。テクノロジーフェアをやっていて、どうして私がブースマネージャーになったかよくわからないけれども、ある日突然推薦されてなったときに、周りがガンガンのハイテクの中で、こういうアナログのものを出していいのかどうか悩んでいた瞬間があるんですが、そのときにやっぱり「これは君の仕事だよ」というふうに誰かに言われたんですよね。頭の中で。ポンと。 |
二 木 | | その後はもう迷わなかった? |
関 根 | | うん。その後は完全に突き進んだという感じですね。 |
二 木 | | いま「出会い」とおっしゃいましたけれど、それぞれものすごく違う人たちと会っていると、その中で、もしかしたら私はこっちのほうが向いているかもしれないと思う瞬間はありますね。だれでも言えることなのかもしれませんけれど、そういう意味では周りの人々に感謝しています。 |
関 根 | | いろいろな人に出会って、その人たちからいっぱいもらっているんですよ。生まれてきて出会った人たち全部が、私に何かを教えてくれているんだという気がするんです。だから、それを聞きとれるかどうかの違いかなと思うんですね。
でもある歳までは、一生懸命みんなが教えてくれていたのに、全然それが自分でわかっていなかった。じつは、すごく落ち込んだときとかに聞こえちゃったりするんですよ。だから人間は落ち込んだり、悲しんだりするほどいいのかなという気もちょっとしています。
<「コム人対談」から引用すれば>
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吉 原 | | 「コム人対談」から気になったところ、気に入ったところを抜き書きしてきたので、読み上げていいでしょうか。最初は二木さん。「物事をはじめるたび、器が大きいという悪癖があり、あとで苦労します」、「サーチエンジンでは探せないリソースを探し出せるリストという糸がありました。その意味で、情報の選択につくり手の価値観が入っているサイトです」、「思わずわかったようなことを言っていますが、勘違いもしょっちゅう。天然ボケの日常です」とおっしゃっています。 |
二 木 | | 最後だけはとっても真実です(笑)。 |
吉 原 | | 関根さんは「私、かっこいい障害者とダンディな高齢者をたくさん紹介してほしいんです。それは、ユニバーサルデザインが実現した社会においては、弱者ではない人々です。うちの登録社員の方で、80歳でネットを駆使して精力的にお仕事をなさっている方もいます。歳をとることは決して不幸ではない。歳をとったからこそできることもあります」。 |
関 根 | | 私もとてもミーハーなんですよ。スタンフォード大学にかつて頚椎損傷で首から下は動かないんだけど、すごくハンサムなお兄ちゃんがいまして、彼に会いたくてスタンフォード大学に毎年通っていたんですね。その人のこと、NHK特集で番組にしちゃったんですよ。だから、かっこいい障害者とダンディな高齢者でいっぱいの日本だったら、自分が歳をとることが楽しみになるじゃないですか。矢野さんもそんな一人よ(笑)。 |
吉 原 | | 「ユニバーサルデザインというのは、別に遠くに住んでいる高齢者や障害者のためだけではなくて、これから歳をとっていくあなた自身が明日困らないためのもの。明日はわが身なんですということなんです。自分に使えないものであふれた生活なんて、考えただけでうんざりしますね」。 |
関 根 | | そのとおりです。 |
吉 原 | | 粟飯原さんは、「私は初めてお目にかかる方から、意外と普通ですねと言われることが多いんです。私自身も本当に何か強烈な個性をもつているわけではないんです。だからなのかもしれませんが、普通のOL、普通のミーハーの気持ちを忘れたくないなという思いがあって、普段の生活の中で思いついたことを地に足をつけてやっていきたいと思っています。地に足のついたミーハーという言葉が気に入っていて、私のポリシーでもあります」とおっしゃっています。今日は本当にありがとうございました。 |
矢 野 | | 本当に素晴らしい発言が並んでいますね(笑)。ほかに質問はありませんか。
<来年からSEになりますが、コメントをお願いします>
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