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矢野 | |
インターネットの危うさに気づいている人も多いけれど、まったく無防備に使っている人が多いのも現実で、この辺のギャップがインターネットの問題だと思います。パネリストの方で、もう少し話したかったという点があれば追加していただき、あとは会場からもご意見をいただきながら議論を進めましょう。
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新入社員は企業の「セキュリティホール」!?
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尾花 | |
話し忘れことがありましたので、ほんの1、2分だけ。みなさんもこれから大学を卒業して社会人になりますよね。企業にとっていちばん恐いのは、この社会人1年生なんですよ。「セキュリティホール」と私は呼んでいるんですけれど(笑)。
社会人第一歩というときは、会社に対しての常識とか、社会に対してこうしなきゃいけないということを模索している最中で一生懸命なんですね。ふつうは一生懸命じゃないから、そこがセキュリティホールになってしまうのに、実はみなさん方は一生懸命だからこそ、企業のセキュリティホールになってしまうんですよ。
大学でパソコンを散々やって、専門学校でもパソコンを扱ってきた新入社員が友人の会社に入りました。「彼女が入ってから、会社向けの迷惑メールがすごく増えたんだけど」と思って「メールで何か作業してくれてる?」と聞いたら、「はい、『このメールが今後いらないようだったら、メールいりませんと送ってください』と書いてあったので、すべてそのように対応しました」って、元気に答えてくれたそうです(笑)。おかげさまで、そのメールは“生きて”いて誰かが読んでいるということを証明してしまったので、そこに次から次へとメールが入ってきていたんですね。
迷惑メール業者は、「このメールは使える、必ず反応がある」というメールに対しては、最高の「花まる」状態だとリスト化して、業者間を有料で取引しています。だから、ケータイでも「今後このメールがいりますか?」と書いてあったら、「はい、いいえ」の「いいえ」も押しちゃいけません。ここなんです、問題は。アクションを起こした瞬間に、読んでいるとわかってしまう。これだけはみなさん覚えておいてください。
新入社員は会社のことや社会人としてのマナーを教わります。たとえばIBMだと、専門的知識とかシステムの話とか、その会社で働いてもらうための最低限の知識と教養を教わるんですが、会社に入ったときにセキュリティ対策を教えてくれる企業はまだまだないんですね。それが新入社員を企業のセキュリティホールにしてしまっている現状があります。
みなさんたちのせいじゃないんです。会社側の責任なんですが、一生懸命取り組んだために、例えば情報を漏洩したり、迷惑メールが増えたりということを招きたくないので、学生時代にサイバーリテラシーを身につけていただいて、「こいつはできるじゃない」と思われるような、先輩たちに「ダメですよ、こんなの書いちゃ」と言えるようになって卒業していただきたいなと思います。
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矢野 | |
いい示唆をいただきました。学生から何人か発言していただけるといいですね。はいどうぞ。
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会場 | |
送ったメールが受信トレイで「迷惑メール」に区分けされてしまうのですが。
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尾花 | |
フリーメールって、ホットメールもそうですし、ヤフーのメールもそうですが、使うには便利なんですけれど、ああいったものに関しては、実は受け手側が迷惑メールとして処理してしまっている例がすごく多いんですよ。
例えばウイルス対策ソフトがホットメールを「ウイルスとして登録しますか、しませんか」と聞いてきたのだとしたら、それはウイルス対策ソフトのシステムが聞いているので、自分の対策として、イエス・ノーを入れるには全然かまわないんですね。何をしてはいけないかと言うと、相手にメールを送り返してはいけない。返すと、反応があったと思われる。だから、返さない範囲で自分の設定やプロバイダーの設定をやればいいわけです。これをクッリクしたら送り主に絶対届いちゃうよな、という行動をとらなければOKです。
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矢野 | |
ぼくも公開しているメールアドレスがあるので、9割くらいスパムメールですね。もうどうにもならんと思いますけど、とりあえずドメインとかメールアドレスによってシャットアウトします。hotmail.comとかyahoo.co.jpのスパムはやたら多いので、ドメインごと不用フォルダに回してしまう。
さっきも誰かにもらったメールを見たら、hotmail.comなわけね。君がいくらメールを出しても、ぼくのところには届かない、そう設定されているわけですね。これは本来のコミュニケーションを疎外することになるわけで、スパムのやっかいさはそんな深刻なところまできている。
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会場 | |
企業での研修がないという話がありましたが、学校での情報教育や家庭での教育も必要だと思いますが……。
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親は子どもときちんと向き合うことが大切
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尾花 | |
私も子どもをもつ親なのでよくわかるんですが、たぶんお母さんたちは子どもたちにグチュグチュ教えるのがめんどうくさいんです。みなさんも記憶にあると思うんですが、親とコミュケーションするのがめんどうくさくなる時期ってありませんか? 細かいことにうるさいなと思ったりとか、いちいち家に報告しろと言われてもめんどくさいよと。
小さい頃から子どもとコミュニケーションしてきたお母さんはいいんですけど、さあ頑張ってコミュニケーションしましょうといったところで、子どもたちはもう「ママとはあまり話したくないんだあ」と言って、学校から帰ってきて「ただいま」と、すぐに部屋に入っちゃう。そんな子だと、なかなかコミュニケーションをする機会がなくなってしまうんですね。
だから、子どもたちのケータイにいったい何がどう届いているか、親はちっともわかっていなくて、最終的に親はどこで納得をするかというと「持っているから安心」ということなんです。要するに、持たせていることで連絡がつくから安心と思う。子どもにとってはラッキーですよね。持っていれば安心してくれるので、とりあえず電波が届かなかったと言い訳すればいいから、面倒なときは切っておけばいいと。
たいてい世の中って、悪いことをする人のほうが頭いいんですよ。さっきの迷惑メールを送る人もそうですし。だから、「子どもたちが悪いことをする」という言い方をしたら失礼ですけど、ちょっと隠れて何かしようかと思っているときに働く知恵って、すごいんですよ。
どうやって対策をするかと言うと、携帯電話を買うときにちゃんと話をして、携帯電話でこういうことをやってはいけないということを教えて、納得させて、ある程度お約束ができた状態で携帯電話を買う。自分たちで買うお金がない子どもたちなら、約束した時点で買うようにしなきゃいけない。安心だから、先に買い与えちゃう、これがいまの親たちなので、まずそれをひっくり返さなきゃいけません。
それと、未成年で携帯電話を買うときに親のはんこがいる年齢の人に関しては、私は親に対して「申し訳ないんですけど、料金は親が払ってください。その代わり、無謀な使い方をしたら払うのをやめて取り上げてください」というふうに言っています。18歳未満で購入する権利もなければ、自分たちで責任をとることもできないような年齢の子たちに、「自分たちでお金を払いなさい」と言えば、節約して使うだろうと思ったら大間違いです。
例えば富山の駅前で中高生を調査したら、携帯電話代を稼ぐために援助交際をした人がものすごく多かったそうです。富山ですよ、渋谷じゃないんですよ。援助交際といっても富山はけっこうかわいくて、おじさんとお茶飲んだら5千円もらったといったレベルらしいんですが(笑)、それでいいという問題じゃないじゃないですか。渋谷で起きている援助交際とは違うので、ちょっとだけ安心したんですが、女子中高生がなぜ大人と付き合ってお小遣いをもらうかというと、携帯電話代を払えないからだと言っていました。
ケータイでコミュニケーションするためにお金を稼がなきゃいけない。それぐらい、ケータイでコミュニケーションをする機会を奪われたくないという状況になっているんです。だから、親が払いなさい。使いすぎたら取り上げる、という約束で使わせるとおのずとセーブしてきます。親が「あなたたちの責任、いまは自主性が大事、自己責任でやりなさい」と言うのって、放任と一緒なんです。そこをいまの親はめんどうくさがって勘違いしている。
逆に18歳を超えて、大学生になってみなさんのような年齢になったときに、あとは自分の責任。すべて自分で管理しなきゃいけないし、自分の身を守るのも自分だということをしっかり覚えなきゃいけない。
いまの小学生はしょうがないから、学校で教育すればいいとなります。でも中学生、高校生、大学生くらいはもう持たされていて、好き勝手使い放題にしていて、毎月4万円、5万円平気で使っているような高校生もいるような時代に、その子たちにいま何かをしようと思ったら、例えばケータイを取り上げたら精神的におかしくなっちゃう、病院に行かなきゃならなくなる、という子まで実は出てきています。
なかなか学校も家庭もうまく取り組めていないというのが現状かな、と。お答えになっていませんけど。
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矢野 | |
いまの学生は端境期にあるんだね。小学生とか中学生はまったく無知で、とんでもないことをする。そういうことについて、どう教えていかなくちゃいけないかという話なわけですね。古い世代というのはある程度の考え方が固まっているので、それなりの対応をすることでしのいでいるわけだけども、君たちの場合は中途半端なところにいる。だから、いちばん考えなくちゃいけない年代だと思うねえ。だからこそ、やりようによっては面白いことができる面もあるし、危ない面もあると。その辺で自分たちの生活、インターネットとセキュリティという点で、こういうふうにしている、あるいはこういう経験をしたとか、面白い話を誰か紹介してくれませんか。
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会場 | |
おじさんですが(笑)。小林といいますけれど、おじさんの娘がいま20歳なんですけれど、中学生の頃に漫画に凝って、コミケ(コミックマーケット)の会場でかなり年上のお兄さんと知り合ってしまったんですよ。そのお兄さんとメールでやり取りをして、時々会ったりもしていたわけね。お父さんとしては、やきもきしてるんだけれど、なかなか弱いところもあって言えない。
そのお兄さんが使っているメールがホットメールだったんですね。それでぼくは娘に「ホットメールというのは、その人がどこに住んでいるのかわからない。何かあったときに追っかけることができないんだよ」ということを一生懸命に言ったんですが、それでも聞かないわけです。あとは携帯電話。ホットメールと携帯電話ですよ。
ぼくはちょっと頭にきてですね、そのお兄さんと電話がつながったときに「自宅の電話番号を教えろ」と言ったんですね。それが結果的には、娘とそのお兄さんの関係を疎遠にさせたきっかけになったんですね。
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矢野 | |
電話番号を教えろといったために、彼が遠慮したわけ?
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小林 | |
自分がどういう人間であるかということをきちんとわからせないで付き合うというのは卑怯だと思うんですよ。卑怯な状態でいたのを追い詰めてゲロさせたら、そいつは離れていった、そういう話です。これはいろいろなご指導を賜りたいなと思ってですね、恥を忍んで話しました(笑)。
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親子で約束をして、信頼関係をつくる練習をする
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高橋 | |
今回、本を書くときに大学生の女の子と高校生の男の子がいる仲間がいて、お姉ちゃんは小学校のときにパソコン通信からはじめたんですが、そのときにいくつか約束をしたそうなんですね。パソコンやインターネットで何を見ているか、必要があったらお父さんもお母さんも見ます、メールなども必要があればチェックします、チェックしてもいいということを了承しなければ、使わせませんよと。あと、ネットで知り合った人と会うときは絶対に二人きりで会ってはいけないとか、いくつか納得できる約束をして、約束を守れたら使いましょう、ということにしたらしいんです。
なるべく小さいうちからそういう約束を家庭でするのがいいですね。決まりを作ってそれを守らなきゃいけないというよりも家族で約束する、それを守るのが大事で、守れなかったら罰金とかお手伝いをするとかいうことでなくて、信頼関係をつくる練習をする。それをインターネットに当てはめるたのがよかったんじゃないかな、と言っていました。なるほどなと思って。
すごく難しいことですけれど、「自分を大切にしてくる人と付き合いなさい」と言ったらしいんですよね。それはインターネットの、本名も住所も教えてくれないような人は、あなたを大切にしてくれているの? と聞けば怪しいですよね。そういう観点で教えてあげるのがいいんじゃないでしょうか。
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尾花 | |
コミケってすごく特殊な世界で、もうかれこれ三十何年続いているんですけど、匿名性がすごく高いんです。インターネットの世界ととても似ている。自分で漫画を描いている子たちはみんなペンネームを持っていますし、連絡先は自宅ではなくて携帯電話。本名を明かすこともなく、ペンネームで呼び合っているというネットとまったく似た環境なんですね。
その世界がたぶん彼は楽しかったんでしょうね。実はわが家でも似たようなことが起きています。これだけきちっと話をしているのに(笑)。今年4月くらいにお兄ちゃんが「学校に行く」と言って出かけるのに、学校には行っていないということがあって、何をしていたのか問い詰めたら、ある子を探していたんです。
中学受験で勉強で大変だったときに、ネット上で知り合った女の子。小学校の近所にいた中学2年生のお姉ちゃんがネット上ですごくかわいがってくれ、いろんな相談に乗ってくれた。受験がすごくつらいのも彼女が解消してくれていたんですね。よく自宅に電話がかかってきて長いことしゃべっていましたから、私はその状況を知っていたんですよ。それがはけ口になって、彼は中学受験をクリアできたと思うんですよ。だから、私も彼女にとても感謝していました。あまり深くは追求しなかったけれど、自宅同士の電話でやりとりをしていましたし。
ところが息子がケータイを替えたときに、憧れのお姉さんと連絡がとれなくなった。その瞬間、だまって探しに出かけちゃったんです。なぜ日曜日に行かなかったのかというと、彼女とはネットで知り合っていて、私から「ネット上で知り合った人と勝手に会ってはいけない」と散々言われていたので、言い出せなかったらしい。
何度も会って、何度も電話をしている相手を探すなら、学校を休んで内緒で行かないで、土日に出掛ければいいと思うのに、「ママに怒られるから言えなかった」。子どもの心理って複雑だなあと思いました。お約束をきつく言ってしまうと、たまたま生じたとてもすばらしいことも隠そうとするんですね。彼女も高校生になって彼氏でもできて、2歳年下の男の子をかまっている場合じゃなくなったんだろうと思うんですけれど(笑)、思春期の入口にいる息子にそんなこと言えるはずもなく、すごく悩んでしまいました。子どもの心理を逆なでしないように、でも気をつけなければいけないことは外さないように、機会あるごとに言い続けてやるのが、せめて親にできることじゃないかと思います。
お友だち同士もそうですよ。ほったらかしにしないで、なんか様子がおかしいと思ったら聞いてあげてくださいね。その辺が逆にお友だちを救ってあげたり、面白いコミュニケーションにつながったりすることになると思います。
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矢野 | |
学生たちは小林さんのお嬢さんの立場、尾花さんの息子さんの立場に近いわけですよね。そういう観点から言うと、匿名で知り合って面白いこともいっぱいある。新しいコミュニケーションもやっている。余計なことしないで放っておいてくれとか、いろいろ意見があると思うんだけど。 |
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会場 | |
相手の男性としては、家の番号を教えるのはいいけど、父親に干渉されるのにはビビッてしまう、という程度のことだと思うんですよ。「特定できない連絡先だから、特定できる連絡先にしろ」と言われたから関係が疎遠になったというわけではないのではないでしょうか。
尾花さんのインターネット上で知り合った女性というお話もそうですけど、生まれたときからメールとかケータイとかソーシャルネットワークとかがある子どもたちは、広場で友だちをつくるような自然な感じでネットで知り合いになるのかなと思います。もちろん危険はともなうわけですが、出会う、別れるというのはあるがままの出来事で、しょうがないことだと思います。 |
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矢野 | |
自宅の電話番号を聞かれたからいやだと言うのではなく、そんなことで親父が出てくるのがいやだと。 |
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高橋 | |
小さいときからケータイを持っているのがあたりまえの人たちだったら、ネットでお友だちをつくったり、やりとりするのも自然だと思うんですけれど、ちょっと心配するのは、宮台真司さんなんかも言ってるんですけれど、ネットのゲームのほうが面白い、ビジュアルゲームのほうがリアルな女の子よりも全然いいよという学生がだんだん増えて、それは個人の趣味ではいいと思うけれど、でもそれって大人からするとすごくつまらないなと。
たしかにリアルな世界はめんどうくさいです。女の子もうるさいし、ガミガミ言うし、ふったりもするかもしれないけど、そういうこともしたほうが男を磨くというか(笑)、そういうことをしてほしいとおばさんは思います。 |
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会場 | |
人間に触れ合って学んでいくのはとても大事だと思うんですけれど、むしろ大人の方がなんとかできないのか…… インターネットをうまく活用して、人間性を磨いて、危険も回避して生きていく方法を、逆に示していただければ。 |
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会場 | |
社会人なんですが(笑)、ちょっとお聞きします。ウイルスをばら撒いたりしている人たちはほとんどが愉快犯じゃないかと思うんですよね。アドレスから遡って追及できないんでしょうか。
みんなが自己防衛をしなくちゃいけない時代というのはもう終わったんじゃないか。技術面から見ても、早くそういう世界をつくってほしいなと思います。 |
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敵もさるもの、技術的に追跡するのが難しい
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新 | |
迷惑メールが愉快犯というのはもちろんあるんですけれど、最近はいわゆるフィッシングメール、悪いサイトに引っ張って行って、そこからお金を取ることを考えたりしています。本当の詐欺、犯罪として考えなければいけないですね。
追跡したいのは山々なんですけれど、敵もさるものといいますか、どこから送っているか、毎回嘘をつくんですね。同じこところから毎回来ると、もちろんストップするんですけど、毎回変えてくる。それも実在しないものが多いので、技術的に追跡していくのもすごく大変になってきます。
新しい話としては、嘘をついているかどうかを見破るしくみもあり、嘘をついたところをはじく対策を考えているところです。ウイルスメールをつくる人は、先ほど悪知恵のほうが頭がいいという話がありましたが、まったく考えてもみなかったことをしてくるので、技術的に追いかけてはいるんですが、完全になくすというのは、ちょっと自信がなくて申し訳ないですね。 |
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会場 | |
添付書類が付いたメールは添付書類を開かない限りウイルスにはかからない、それは正しいんでしょうか。 |
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新 | |
ウイルスが添付書類についてくるものに関してはそうです。新手のものとしては、ウエブのURLが指定されていて、その画像をクリックすると、良からぬものがダウンロードされるというのがあります。HTMLで送られてきたメールは注意しないと危ないです。 |
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矢野 | |
最近ではホームページにアクセスしただけでウイルスに感染しますね。ぼくはモニカ・ベルッツイというイタリア女優が気に入っていて、グーグルで検索していろんなサイトを見ていたところ、なんと「モニカ・ベルッツイ」という名のアダルトサイトに行きついて、そこにアクセスした途端、パソコンがシャットダウンした。こういう不意打ち的なウイルスは厄介です。
ところで時間も来ましたので、最後にパネリストの方にひと言ずつお話しいただいておしまいにしましょう。 |
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尾花 | |
長い時間みなさんおつかれさまでした。ゴチャゴチャした話をいろいろしましたけど、たしかにインターネットがない時代には戻れないですね。私は21年前にパソコンをやりたくてIBMに入り、まだウインドウズがなかったり、窓がやっと2個くらい開いて「すごい」と言っていたりしていた時代から、一歩一歩ステップアップして、技術とか対応の仕方を学んできたわけです。しかし、私と同じ世代でもIT業界とはまったく無縁で、インターネットに拒絶反応を起こしている人たちもいます。
みなさんたちの時代は、ウォークマンも当然あったでしょうし、CDウォークマンができていたかもしれない。テレビゲームもあたりまえで、パソコンもあった。そんな時代に生まれ育ったことは、みなさんにとってはある意味すごく特権だと思うんですよ。
先人たちがつくってきた道を堂々と歩けばいい。でも、だからこそ気をつけてほしいことがあるかな。小林さんのお嬢さんのことで、先ほど面白い意見が出ました。たしかに、お父さんが怒鳴ったことで、もしかすると親父が出てくるのがいやだったかもしれない。でもお嬢さんのほうも、自宅の電話番号を教えてもらうなど身元を確認する行動を取れれば、お父さんが出て行かなくてもよかったかもしれないですね。
だから、みなさんたちが自分の危機管理にもうちょっと神経とか行動を使える余裕ができれば、たぶんうるさい外野もいらなくなるんですね。
インターネットって危うさはいっぱいありますけど、可能性のほうがもっと大きいんです。利用されてダメになってしまうか、うまく使って飛躍的に伸びるか。私もネット上で知り合った友だちといまビジネスパートナーとして、いっしょに仕事していますけど、こんなにやりやすい人はいないです。遠く離れたそんな人と知り合えるのは、インターネットの恩恵なので、人生の勝ち組負け組みという言い方は大嫌いなんで、「勝ち」じゃなくて「価値」、価値のある人生を歩んでいただくために、インターネットをどうやったらプラス方向に使えるか。マイナス方向の要因が飛び込んできたときに、どうやって排除するか。そのことを学びながら、歩きながら、多少けがをしてもいいじゃないですか。つまずいてもいいじゃないですか。初心者マークをつけながらがんばって運転して、いつかはF1ドライバーになる夢を描いていただけたら、このセミナーをやらせていただいた甲斐があるかなと思います。
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高橋 | |
いろいろな質問やご意見をいただいて、あらためて「やっぱり難しいな」っていうのが正直なところです。インターネットというのは広まってきてから、わずか10年ですよね。ですから、誰もそのことでどんなことになるのか、どんな社会になるのかわからないなかで、子ども、それから女の人もそうですよ、いざ事故に会ったときに困る危険性は女の人のほうが高いからこそ自分で注意しなきゃいけない。そういう時代であることを理解して、何かに頼るとか、誰かに守ってもらうとかではなくて、自分を自分で守ることを身につけつつ、がんばってほしいなと思います。
インターネットって、これからもっとリアルな世界と結びついていくと思いますので、なんとなく結びつき力みたいなものを自分たちなりに考えて、むしろ私たちに教えてほしいと期待しています。
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新 | |
例えば車ができたとき、電車ができたとき、おそらく山ほど事故があったんじゃないかと思います。いまのように交通ルールができて、正しく動くようになるまでいろいろな事故もあり、障害もありみんなが悩みながらここまできたんだと思います。
インターネットは新しいものですから、全員が実験台のようなものになり、次の世代にいいものを残すために今がんばっているわけですね。ある意味で、事故が起きるのはしょうがないけれども、次を考えるきっかけだと前向きに考えていきたいと私は思っているところです。
サイバーリテラシーというのもそうですし、バーチャルであったからこそ良かったことももちろんたくさんありますし、ビジネスパートナーを見つけ出したというお話もありますし、ちょっとクラスの中では浮いちゃうような子が同じような考えを持つ人とネットのなかで知り合えたら、それは引きこもりにならずにすむとか、いろんな可能性があります。楽しく使えるようないいガイドラインをつくるというのも私たちの仕事と思っていますので、私も技術だけに終わらずにいいものをつくっていくことを考えたいと思います。
私の先生はインターネットの業界では有名な方ですけど、大学の入試の面接で「コンピュータと女の子、どっちが面白い?」と聞かれたとき、「どっちも面白い」と答えたそうです。コンピュータは人間の言ったとおりに動く。基本的に人間がプログラムしたとおりに動きますから、失敗も含めて全てが思い通りになる。女の子はまったく自分の思い通りにならないところが面白い、と。
人間と技術の関係を表していて非常に面白いと思うんですけれど、現実世界はこう、技術の世界はこうときちんと区別して生きると面白いかな、と思います。
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矢野 | |
最後に気の利いた締めをしていただいたので、シンポジウムとしても締まりました。どうもありがとうございました。<文責・矢野>
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